1日300回を超える離着陸がある那覇空港。入れ替わるようにスポットへ到着する航空機の整備作業は、時間との戦いでもあります。
運航整備課・石戸寛之整備士「短い時は(整備時間が)30分から40分に設定されています』
JTAが所有する機体はボーイング737-400。会社の設立から41年間、人身死亡事故ゼロを更新していて、安全運航は会社の生命線です。
石戸整備士「まずオイル、そして油もれがないか、あと飛行機のへこみがないか、飛行機の部品がきちんと備わっているかどうかを主に見ています」
一日に平均4便の点検を行う整備士。機体の外観チェックを終えると、次は機内へと入ります。
石戸整備士「(これ何ですか?)このフライトのデータです」
この日、機体はある『異変』を示していました。
石戸整備士「ちょっとしたトラブルです。補助動力装置のオイルが低いというメッセージが点灯してまして」
尾翼のそばに設置された、機内のエアコンや電気系統を動かす装置で異常が見つかった模様です。早速、別の整備士と連絡を取り、点検を行います。
石戸整備士「オイルチェックどうでしょうか?」
残された整備時間は20分あまり。点検の結果、装置に異常はないことが確認されました。
およそ40分ですべての点検を終えた石戸さんは、機長に整備内容を報告。
石戸整備士「燃料搭載完了です。24400ポンド搭載しました。ログに記入、並びにシートサインOKです。技術サイン、チェックお願いします!」
午後1時半。予定通りに点検を終えた航空機は次の目的地、東京へと出発しました。
石戸整備士「予期せぬトラブルが起こる現場ですので、時間は短いが、判断力をしっかり自分の中で持ち、適切な安全運航を行うよう心がけている」
航空機の整備は飛行前の点検だけではありません。
『知識と能力の限りを尽くして、一便一便の運航を確実に遂行していきます!』
航空機の飛行時間ごとに行われる重点的な整備。車でいう車検にあたるもので、この日は飛行4000時間を経過した航空機のC整備が行われていました。
点検整備課・上里忠志整備士「一機あたり2交代の早番・遅番で動いていて、だいたい70人くらいで24日間、だいたい20日程度で整備します」
重さは60トン。ハイテクの塊である航空機を丸裸にしての整備作業。気の緩みや間違いは許されません。
上里整備士「ハイドロ系統、飛行機の動力部分です。それを動かすための油圧系統の部品が集中しているところです。100種類以上のネジが使われています」
中華航空の事故の後、緊急の点検作業も行われたといいます。
上里整備士「SB(技術通報)が出て、特例作業を行って、その部分を注意的に見ましょうということで、一斉点検を行った」
航空機の部品庫は整備士でさえ、許可無しでは入れないほど厳重に管理されています。
補給課・幸地厚課長補佐「737の部品で一度しか使わない部品を合わせると(部品数は)4万点くらいになります」
膨大な数の部品を保管するこの部屋はサビなどを防止するため、温度は26度、湿度も一定に保たれています。
岸本記者「こちらは不良品や不具合が出た部品の保管庫です。完全に檻に閉じ込められて誰も入れないようになっています」
小さな部品も規格にあうものかどうか、一つ一つ点検する職員。こうした作業の積み重ねが安全運航には欠かせないといいます。
上里整備士「精密機器の大事な部分を扱っているので、作業は慎重に。ミスワークがないように気をつけて作業している」
糸数均整備士「縁の下の力持ちなんて言われるんですが、そこに誇りを持っていまして」
整備士はきょうも航空機のわずかな異常も見逃さず、空の安全を守り続けています。
去年の中華航空の事故は、まさにボルト一つがあれだけ大きな爆発につながりました。命を守るという点で考えると、これだけ慎重な整備が必要なんだという事が改めてわかります。
あすは、事故機に乗っていた乗客の証言を元に、事故が今も乗客に与えている影響を考えます。