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感染拡大を抑え込むために緊急事態宣言は必要な措置ですが、期間が延長されれば、それだけ経済へのダメージはどうしても避けることができません。去年に続き、今年も感染拡大の猛威にさらされ、窮地に立たされている観光業からは悲痛な声が聞こえてきます。

沖縄ツーリスト観光部 沖縄仕入れ手配センター・吉田勝徳センター長「緊急事態宣言がずっと延長、延長で延びてますので、もう壊滅状態。基本的には(予約は)ないに等しい」

かつてないほどの勢いで感染拡大を続けるデルタ株による「第5波」は、観光業にも深刻な打撃を与えていました。かき入れ時の夏なのに、県内の多くの施設では異様な光景が広がっています。

夏の観光シーズンに緊急事態宣言延長 観光業界に打撃

例年なら観光客や家族連れでにぎわう「沖縄美ら海水族館」や「こどもの国」には休館の看板が出され、ひっそりと静まりかえっていました。緊急事態宣言は3度目の延長が決まったことの余波は大きく、去年に続き、今年も観光シーズンを棒に振ったような格好です。

沖縄ツーリスト・吉田センター長「去年の8月が一昨年と比較して10%くらいしかない。そこからさらに減っているので10%以下になる。宣言延長のせいで(予約の)キャンセルが大幅に増えたというよりは、新規で入ってきそうな動きが出始めていたのが止まったという感じです」

夏の観光シーズンに緊急事態宣言延長 観光業界に打撃

旅行代理店・沖縄ツーリストでは8月の予約状況について、コロナ前のおととしと比べて、去年は90%減少したといいます。今年は去年以上にできることがなくなり、厳しさは増す一方だと先行きの見えない状況に肩を落としています。

沖縄ツーリスト・吉田センター長「(去年の8月は)減り切ったのが少し上向きになった月ではあるので、その時と比べるとさらに今年は少ない。Go Toトラベルキャンペーンしかり、おきなわ彩発見キャンペーンしかり、そういうキャンペーンがない」

新型コロナによる経済的な損失は大きいのに満足な支援を受けられていない現状もあり、収入を確保するには、自分たちの力、企業間で協力するしかないと話します。

夏の観光シーズンに緊急事態宣言延長 観光業界に打撃

沖縄ツーリスト・吉田センター長「観光業、ホテルの方もそうですし、観光施設の方もそうですし、旅行会社の従業員もそうなんですけど、そこに直接的な支援というのが全くない。結局、何かをやろうと思うと、自分たちの自助努力。このままずっと今の状態が続くと正直何もできなくなっていくっていう…」

夏の観光シーズンに緊急事態宣言延長 観光業界に打撃

沖縄ツーリストでは旅行プランを前面に売り出すことが難しいため、少しでも収入を確保しようとTシャツやマスクなどを詰めた福袋「セルフロックダウン救援パック」の販売を行っています。

沖縄ツーリスト・吉田センター長「(緊急事態宣言が)あけたからすぐ予約が増えるのかというと、恐らくそういうわけでもなくて、早くても秋あたりからの予約増だと思う。そのあたりに向けての徐々に上げていくタイミング、その上げていくタイミングのところで予約が止まっちゃっているので、だから今も10月あたりなんかの秋口の予約というのが、ちょっと影響として止まっている」

新型コロナの感染急拡大による「需要の低迷」は観光業にとって死活問題です。すでに秋の予約にもキャンセルの余波は押し寄せ始めていて、収束の見通しが立たたない第5波の猛威に耐えつづける体力も限界が近づいています。

夏の観光シーズンに緊急事態宣言延長 観光業界に打撃