シリーズでお伝えしている激動2009沖縄。きょうは、今年も毎日の県民生活に大きな影響を与えた「経済」問題を振り返ります。
公設市場店員「2009年からもうぱたっと変わった」去年からの経済危機の影響で大幅な観光客の減少で幕を開けた今年の沖縄経済。30代男性「トヨタ自動車のほうでこの、ラインの方入ってまして」派遣切りなど、県内からの多くの出稼ぎ労働者の雇用問題もクローズアップされました。
しかし、政府は6月に景気は底を打ったと底打ちを宣言。県内でも、7月の入域観光客数が過去最多となり9か月ぶりに前年を上回りました。しかし8月以降、県内で再び新型インフルエンザが流行。持ち直していた観光にとって、想定外の打撃となりました。
観光客数は再び下降局面をたどります。全国の景気の本格的な回復も遅れ、生活防衛意識が高まる消費者を取り込もうと年後半にかけ物価は下落。880円という価格で話題となったこちらのジーンズも2割引きで704円となります。
物の価格が下がる、デフレ現象が県内でも顕著に見られるようになりました。デフレは、観光にも影響します。大阪発の沖縄ツアー。3泊4日で2万5800円。この価格で、往復航空券、3泊分のホテル宿泊料。そしてなんとスキューバダイビングのライセンス取得料(3日間機材レンタル料込)も含まれているのです。
りゅうぎん総合研究所 比嘉盛樹 上席研究員「特に那覇市を中心に沖縄本島南部、こちらのほうでの競争が激しくなっていますね」「客室数が大幅に増えていますので」「今年だけでも部屋数として2000室くらい増えていますから、仮に去年と同じ人数が来てもですね、そのぶん、稼働は落ちると」「リゾートを中心にかなり厳しい状況が続いています」
景気後退、新型インフルエンザ、円高、ホテルの増加、デフレと沖縄観光にとって、今年はまさに試練の年となりました。こうした中、日銀は先週、県内の短観を発表。
日銀那覇支店 水口 毅 支店長「県内企業の景況感が再び悪化していると、いうことであります。2番目の特徴ですけども先行きも悪化が予想されているということであります。またその悪化のテンポも拡大している」
先月から今月の、県内企業の景況感は、今年の年初レベルにまで再び下落、さらに来年3月の先行きにいたっては、1973年の調査開始以来、最悪の水準まで悪化すると予想されています。
日銀那覇支店 水口 毅 支店長「沖縄県内についてはなかなか持ち直しという言葉を使う状況には今のところ至っていないと」「本土の消費者の所得環境が非常に悪いことが沖縄に来る観光客の足を引っ張っていると」
一方、雇用の現場では、年初から有効求人倍率が下落、その後、大きな落ち込みはありませんが、依然低迷を続けています。
沖縄労働局 渡部 昌平 職業安定部長「そういう意味でいうと、沖縄は小康状態といえると思うんですが、一方で企業の募集があまり出てきてない。」特に厳しいのが、新卒者の求人です。「企業の将来に対するマインドが暗いんだろうなと、将来の見通しが分からないので求人募集出しきれませんという動きがあると思っています、ですからこの求人マインドが緩まないとたぶん求人倍率はあがってこないだろう」
しかし、暗い話だけではありませんでした。全日空は10月、那覇空港を拠点とした国際貨物ハブ事業をスタート。アジアと日本の8都市と那覇空港を毎晩結ぶ日本初の航空ハブ事業は国内企業だけでなく世界の企業から注目されています。来年、沖縄経済はどうなるのでしょうか?
日銀那覇支店 水口 毅 支店長「おそらく来年の前半くらいは今とあまり変わらない苦しい状態が続くだろうなと思っております。」「本土の消費者の所得環境がどういう風に展開してくるか、これが一番カギになると思っています」
沖縄労働局 渡部 昌平 職業安定部長「結局は自分自身を守るのは自分自身しかいませんので、経験知識を積む、」「自ら勉強する、前向きに活動するとといったことも重要になってくると思います。」
職業訓練を希望する若者が増えるなど、これまでにない動きも見られました。
沖縄労働局 渡部 昌平 職業安定部長「言ってみれば将来の投資の部分もあるんですね、人材を確保するから、もしくは人材に教育をするから将来の会社が伸びていくんだと、人件費は必ずしもコスト、コストカットの対象というよりかは、これは将来の投資だという意識をこういう時こそもっていただきたいと」
将来の沖縄をどうしていくのか?再来年には、これまで県内経済を支えてきた沖縄振興計画も期限切れを迎えます。
沖縄労働局 渡部 昌平 職業安定部長「10年単位で沖縄の将来を考える大事な時期に来るのではないかなと思っております。環境の変化としては、アジアのすぐ近くにあるアジア諸国の経済発展がありますし、今まで沖縄にたくさん来ていた本土の観光客はどんどん高齢化、少子高齢化が進むだろうと、とこういう風に思われます。そうした時代の変化に合わせた沖縄の観光業であり、建設産業でありですね、どんな工夫がありうるのか、ということを考えながら人材を育てていくとということが大切だろうとおもっています」
まずは、足元にとらわれない長期的なビジョンを描くことが不況脱出の、確実な一歩となりそうです。