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ことし5月にスタートした裁判員裁判。全国ですでに一般の人が裁判員になって判決を出す裁判が行われています。県内では、初めての裁判員裁判がきょうから始まりました。これまでに、起訴されている対象となる事件は13件。その中の一号となったのは殺人未遂事件の被告を裁くものです。

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緊張した面持ちの裁判員候補者たちが続々と那覇地裁へ.

裁判員候補者「第一回目の裁判員制度だということで、すごい緊張している。(Q.実際に参加されたいお気持ちはありますか?)いやちょっと重いかなぁ」「(裁判について)賛成とも言えないし反対とも言えない。入ってみないとわかりませんので、一応参加して見ようと思って。自分の希望できました」

検察官、弁護士にとっても、初めての裁判。

検察官「裁判員や裁判官の方に適正なご判断を頂くために、わかりやすい立証、目で見て、耳で聞いてわかる立証を、そして迅速で的確な立証を行ないたいと考えています」

弁護士「一般の方々が判断されるというということで、わかりやすい裁判を第一に心がける」

そして、面接と抽選を経て、6人の裁判員が選ばれました。

抽選で外れた人は―

元候補者「せっかく選ばれてここまで来て、会社もお休みを調整してきていますので、どうせなら選ばれたかったかな」

一方、裁判所の前では裁判員制度反対の抗議行動も行われました。

反対派「裁判の大半は3日から5日で判決になります。そんなにも節足な裁判では正しい判断など出来るわけありません」

久田記者「反対の声も上がるなか、県内でも始まる裁判員裁判。きょうから法廷での3日間のやり取りに注目が集まります」

賛否両論の中、きょう午後1時40分。県内初めての裁判員裁判が開かれました。

スタジオには先ほどまで裁判を傍聴した久田記者が入っています。久田さん、きょうは75人もの裁判員候補者に呼び出しがかかっていたんですね。

久田記者「はい、しかしそのうち、実際に裁判所に足を運んだ人は半分以下の34人しかおらず、やはり裁判員制度に消極的な人が多いということが浮き彫りになりました。この中から面接を経て、6人の裁判員と3人の補充裁判員が選ばれました」

まず法廷の様子から伝えてください。

久田記者「法廷にはこのように3人の裁判官を挟むようにして、男性1人、女性5人の裁判員が座りました。きょうは、被告がどんな経緯でこの事件を起こしたのかという、検察側の主張から始まりました。扱う事件は、起訴状によりますと、ことし7月豊見城市内で、寝ていた男性の背中などを数回にわたって刺して殺害しようとしたとして、東力被告が殺人未遂等の罪に問われている事件です。東被告は犯行を認めているため、争点は有罪か無罪かではありません。自分から犯行をやめたか、抵抗されたからやめたのかという、罪の重さの判断に絞られるということが、裁判所・検察・弁護側の打ち合わせで決まっています」

そうですか。今までの裁判と何か違った点、実感できることはありましたか?

久田記者「映像でイメージしやすい表現が多かったと思います。検察官は、いかに裁判員に罪の重さを訴えるか、弁護士はいかに罪を軽くするよう求めるか、裁判員にわかりやすく訴えるよう努力したように感じました。例えば、検察側は被告が『被害者を寝かせて足でマッサージし、無防備な状態にしたうえで、隠し持った包丁で、心臓を一突きしようと考えていた』と述べ、計画的で固い殺意があったと主張しました」

マッサージしながら包丁を隠し持っていたと聞くと、悪い印象をもちますよね。

久田記者「また弁護側は、被害者が、最高で年利320%相当の違法な高金利で金を貸したことが被告人を追い詰めたことや、被害者の人物象を悪く印象付けるような表現を用いて、被害者の落ち度を裁判員に訴えていました。これまでは、裁判官が証拠を見れば認識でき、法廷内で言う必要はなかった部分がさらけ出された、と思いました。この点が裁判の劇場化を招くという、反対派の懸念するところです」

高山弁護士「非常に劇場化する、ショーになる。裁判そのものが、人の見た感覚でどう受け止められるのかということに重きがおかれてしまう。裁判員裁判には常につきまとうと思います」

天方弁護士「裁判員に訴えることができれば、裁判官にも響くだろうと考えて、専ら、裁判員に対するアピールということに神経を使ってやるでしょう」

すると感情に流された判断をしてしまいがちですかね?

久田記者「どうでしょうか。裁判の終盤では、なぜ被害者が加害者に大金を貸すことができたのか質問するなど、冷静な質問もあったようです。いずれにしろ、裁判員には3日という短時間で、事件を正確に理解し、裁判官や周りの裁判員の意見に迎合せず、自分の意見で判断して頂きたいものです。そして裁判後には、裁判を経験した感想を伝えていただければ、制度が今後どうあるべきかという検証にも役立つと思います」

さて、明日はどんな動きがありますか?

久田記者「明日は証拠調べ、そして裁判員自身が被告人に質問する機会があります。それを経て、検察側が早くも求刑を出すことになっています」

この裁判の動きは明日も詳しくお伝えします。