海に囲まれた沖縄には多くの漁港があり、県内外から多くの釣り人が訪れます。しかし、釣りスポットである漁港で今、釣りを禁止しているところが多くなっています。その現状を取材すると、釣り人のマナーの悪さが問題になっていることがわかりました。
仲村一茂さん「船にのっている漁具ですね。網だったり仕掛けも取られたり、(中略)モズクの網も取られたり、モズク網が干されているところの上を車でそのまま通られたり、踏まれたりですね。」
釣り人から受けた被害を話すのは、本部町の浜崎漁港で海人として、遊漁船の船長として、そして地元で釣具店を営む仲村一茂さんです。この漁港ではマナーの悪い釣り人がいることで、漁具の盗難や破損、ゴミのポイ捨てなどが多発したことで、漁港内を立ち入り禁止にしました。
さらに、糸満市にある喜屋武漁港では、漁船のエンジンに針や糸などの仕掛けが巻き込まれるといった漁への被害が相次ぎ、数年前に釣りが禁止となりました。
また、この漁港では12月から5月はアオリイカの産卵時期にあたり、漁師たちが資源を守り、増やすために釣らないよう呼び掛けていても釣り続ける人もいるというのです。
喜屋武漁港の漁師「(アオリイカの)親が来てから沖のほうに家を設置してから、これに産卵させるために釣らないでくださいって、看板も説明して言っているけど、聞かない。」
このように、漁業活動に支障をきたす事案から本島内47漁港のうち、28漁港で漁港内への立ち入り禁止や釣り禁止の措置が取られているのです。現状ではライセンス制や許可制などの対策が取れず、立ち入り禁止措置や釣りを禁止にするという対処法しか取れないのです。
県内各地の漁港で釣りを楽しむ伊藤さんも、このままでは釣りができる場所がさらに少なくなっていくという危機感から、漁港の清掃活動などを定期的に行い、2年前には釣り仲間たちをとともに、地元のである南城市の馬天港で清掃活動を実施しました。
伊藤重仁さん「ゴミ取って少しでも釣りする場所が伸びてくれるんだったらという考えでやっていただけで、延命措置ですよね。このまま放置していけば、釣り禁止とかになるじゃないですか。」
また、現状では漁港での釣り禁止にはなっていないものの、国頭村の辺士名漁港では釣りに訪れた大人が空き缶を捨てる現場を、地元の子どもたちが目撃し、心を痛めています。
比嘉空琉くん「ここでジュース買って、空き缶のジュース飲んで、ここで潰してあっちに投げて、何で捨てるんですか?って聞いたから「はぁ、ダメだば?」って言われて。きれいな海あってうれしいけど、大人がポイ捨てするので、悲しいでもありますね。」
比嘉海琉くん「マナーを守ってやってもらいたいです。」
比嘉空琉くん「見てみぬふりしてゴミ増やしたら釣り出来なくなるので。釣り出来なくなるのを阻止したいなと思って。」
辺士名漁港を含め、県内の多くの漁港では今、このような現状から釣り禁止に追い込まれ、子どもたちが安心して、楽しめる釣り場がなくなろうとしているのです。
立ち入り禁止の浜崎漁港で漁師の仲村さんは自身の経験から、漁港内を立ち入り禁止にし、釣りができない現状に望むものではないと話します。
仲村一茂さん「海に接していない子どもたちが増えて、海のわからない、自然のあまり触れ合うことのない子どもたちが増えるのが寂しくて、海人と釣り人とか、こっちで遊ぶ地域の人たちがみんな笑顔で会話をしながら、過ごせる港になってほしい。」
これ以上、漁港での釣り禁止を防ぎ、子どもたちが自然に触れ、楽しく遊ぶための場所を残し続けるためにも簡単に始められる釣りだからこそ、釣り人一人ひとりがマナー、モラルを守ることが必要なのです。