沖縄から全国の舞台へのチャレンジを始めたアスリートの話題です。県出身のスポーツ選手が地元で競技を続けられるようサポートする取り組みが始まっています。
陸上短距離で活躍する座間味里奈(ざまみ りな)選手。宜野湾市出身で九州共立大学を卒業したばかりの22歳です。今月から陸上クラブや学童クラブを運営するアスリート工房の社員として子どもたちのコーチをする傍ら選手としての活動も始めています。
アスリート工房 座間味里奈選手「社会人として陸上を続けるからには県記録狙っていく。大会の記録も全部塗り替えられたらいいなと思っていて新しく更新していきたい」
去年7月の沖縄陸上選手権。女子100m決勝大学4年生だった座間味さんは会心のレースを見せました。良いスタートが切れるとタイムにそのままつながるという得意の形でフィニッシュ。大会新記録そして自己ベストの11秒90で優勝しました。
いまや女子100mの県記録11秒64の更新を狙える一番手として注目されています。
世界マスターズ陸上4×100mで金メダルをはじめ50歳のいまも国内外の大会で活躍をつづけるアスリート工房代表の譜久里武(ふくざと たけし)さん。座間味さんのさらなる活躍に期待を込めて採用を決めたと語ります。
アスリート工房 譜久里武代表「沖縄で唯一11秒台を走る女子選手なのでそういう影響力のある人を採用して子どもたちに紹介したいと思ったので。アスリートとしての経験だけでなく子どもたちと触れ合ったりとか地域と上手く連携して活動することによってこれからの自分自身の競技の幅を広げる人間力たくさんの人に好かれるようなアスリートになってほしい」
アスリート工房では芸能事務所のFECスポーツ団体のスポンサーとなっていた琉球パートナー物流と協力してアスリートの競技を続ける上での資金面やPR活動の支援そしてスポーツ教室や講演会の講師などを通してセカンドキャリアにつなげるサポートを行う会社「沖縄スポーツマネジメント」を設立しました。
マネジメントやスポンサー獲得といったアスリート個人では難しくとも競技継続の上ではかかせない環境の整備を始めています。
バスケットボールや格闘技などの元選手や現役選手に交じって座間味さんもアスリート工房社員兼「沖縄スポーツマネジメント」所属アスリートとして会見に出席しました。
座間味里奈選手「選手としての自分自身の競技力向上はもちろんだが沖縄県の子どもたちが一人でも多く全国で戦えるよう選手を育てていきたいと思っている」
この会見が行われた日の午後座間味さんの姿はアスリート工房が運営する学童クラブにありました。
中学高校の保健体育教員の他ジュニアスポーツ指導員の免許を持つ座間味さんは学童クラブでも週に3、4日働いています。
座間味里奈選手「里奈先生と言ってくれる子どもたちがすごく可愛くてうれしくて。いっぱい動くのが子どもの仕事だと思うのでそういう面では良いのかなと思っていて私もケガに注意しながらいっぱい体を動かして遊ばせて大きくなってほしい」
座間味さんに新社会人としてアスリートとして子どもたちへ携わる仕事をかけもってもらいながら雇用の維持を守るという面もあります。
アスリート工房 比嘉勤子副代表「学童や陸上の指導の方でも私たちから何かをしてと言わなくても現場で判断して子どもたちに声掛けしたり笑顔で遊んでくれたりとかできた社員」
女の子「里奈先生はやさしい」
男の子「(Q.里奈先生の好きなところは?)ケンケンパーとかで遊んでくれるところ」
社会人になりたての座間味さん。環境の変化に慣れようとしているところですが子どもたちとの触れ合いはアスリートとしても大いにプラスとなっています。
座間味里奈選手「学童も陸上の指導もそうだが子どもたちが素直でパワフル。もっと頑張らないとなという元気の源、エネルギーをもらっている」
今月11日。座間味さんは国内でも上位の記録を持つ選手が参加できるグランプリシリーズの大会に出場。沖縄トップの力を持つ座間味さんは100m決勝まで進みましたが結果は12秒04で15位。11秒台をコンスタントに出す全国の選手たちとこれからしのぎを削っていくことになります。
その挑戦の場を故郷沖縄で持てたことに感謝していると話します。
座間味里奈選手「中学も高校も強い選手ではなかった走るのが楽しいというのでずっと続けてきたので、結果を残したら褒めてくれる応援してくれる人もいてそれもまた楽しさだと思う。この沖縄の地で練習して沖縄の地から全国に行って戦って結果を残してというのがこれからの目標でもある」
選手としての高みを目指しながらそのキャリアを子どもたちのために生かす。沖縄のアスリートが故郷を拠点に活躍できる環境づくりも新たなスタートを切りました。