先週日曜日、10年ぶりに沖縄で開催された女子プロレスの沖縄興行。ベテランの有名選手や、若手のホープなど、一流の選手が、沖縄に集まりました。実は、この興行、那覇市内の夜間中学を応援するチャリティーを兼ねたものでした。
本当に、自分のお財布の中からお金を出して、寄付しますというのは、とっても簡単なんですよ。何か、形にあるもので、自分にはプロレスしか無いんですよ。沖縄で暮らす、女子プロレスラードレイク森松さんと渡辺智子さん。戦争によって、義務教育を受けられなかったお年寄りたちの学び舎珊瑚舎スコーレが、資金難から存続の危機にあると知って、力になりたいと立ち上がったのです。
珊瑚舎スコーレ夜間中学 星野 人史 校長「生徒たちになんとかして学ぶ場を確保し続けなくちゃいけないんだって。彼女たちが思ってくれたんですよ。政治家じゃなくて。。。」
ドレイクさんの師匠であった、ジャガー横田さんに話しを持ちかけたところ、2つ返事で了承。所属団体の垣根を越えて、多くのレスラーがチャリティに賛同したのです。先月22日にはジャガーさんが珊瑚舎を訪問し、生徒達を激励。実はジャガーさんにも強い思い入れがありました。
ジャガー横田さん「内の母も義務教育を受けていなかったんですね。去年他界しまして、生前良く言っていたのが、教育を受けたかったと。その夢をね、皆さんは、私の母の分まで、果たしていただいているのかなと思うと余計に応援したい気持ちでいっぱいです。」
興行では、選手として出場するドレイクさんと渡辺さんですが、大会開催までの事務作業の殆どを2人でこなしました。そんな2人の熱い思いに・・・ おばあちゃんたちも街頭に立って、PRです。
こうして、迎えた大会当日。お客さん「初めてよ。私。わくわくドキドキ。」自分達の試合が行われるギリギリまで作業に追われる2人。ドレイクさん「立っていると、こうふらふらしてくるんですよ。寝ていないんで。」
冬の時代と言われる女子プロレス業界、興行はうまくいくのか、そんな心配をよそに、会場には900人あまりのファンが詰め掛けました。プロレスを見るのは初めてというおばあちゃんたちがほとんど。そして、いよいよ・・・
『青コーナー ドレイク森松!!』リングを降りた時の優しい姿しか見ていなかった、おばあちゃん達にとっては悪役のドレイクさんは衝撃です。大村さん「怖いけど、見るんだね。ははは〜」大会に向けてタッグを組んでいた、ドレイクさんと渡辺さんも今日は敵同士。
「今、ともちゃん負けているから、はい、ともこ頑張れ〜って言おう。 智ちゃん頑張れ〜」
渡辺智子選手「なんか負けてもいいや〜って思ったんですけど、そういう時になんかおばあちゃん達の顔が浮かんじゃって。ちょっと負けてられないなと思ったんですけれども。」
ドレイク森松選手「おい!珊瑚舎のくそばば〜 今日は楽しんでいるかい?」
そして、おおとりは、ジャガー横田。レスラーたちがおばあちゃん達に見せたかったのは、決して諦めないファイティングスピリッツでした。試合を終えた選手達。汗を拭う間も無く、募金箱を片手に場内を駆け回ります。彼女達の雄姿は、観客の心を掴みました。この日、多くの人が募金箱に気持ちを寄せました。
瀧石さん「とっても嬉しいです。自分達とっても励みになりますよ。頑張らなくちゃいけませんね。」「有難う。もう涙がこぼれて見えなかった。頑張ったね〜。」
皆の思いがひとつとなって、大成功に終わった、チャリティ興行。星野校長は複雑な思いで受け止めます。
珊瑚舎スコーレ夜間中学 星野 人史 校長「感謝ですよね。有難い。こういう人たちの気持ちを頂いて、やっぱり、行政がきちんと責任を果たす。そのことに気付いてもらわなきゃいけない。」
本来、当然補償されるべき義務教育。いつまでも、民間の善意に委ねることは、行政のあるべき姿ではないはずです。