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毎年、うるま市の中高生が出演する現代版組踊「肝高の阿麻和利」。今年は6年ぶりに世界遺産・勝連城で行われました。日々、コロナの不安が付きまとうなか練習に励み、3日間の公演をやり切りました。勝連城での公演に懸ける思いに迫ります。

地域の青少年育成のために始まった現代版組踊「肝高の阿麻和利」。2000年3月の初公演から、上演回数は300回を超え観客動員数は19万人にも上ります。コロナ禍の中で、6年ぶりに挑んだ、今回の勝連グスク公演には、うるま市内の学校に通う総勢135人の中高生が参加しました。

本番を1か月前に控えたこの日、本番の舞台となる勝連グスクでは、成功と無事を祈るために、祈願祭がおこなわれました。その中心にいるのが、9代目「阿麻和利」を演じる川根達巳くんです。

「肝高の阿麻和利 」6年ぶりのグスク公演

川根達巳くん「阿麻和利役をやるうえで、実際にこう勝連城にのぼって、阿麻和利役をさせてもらいますと、挨拶と一緒に、それから毎公演、始まる前と終わりにはありがとうございました、お願いしますっていうのを、毎回させてもらっています」

そして、もう一人。メンバーたちに指示を出すのは、「肝高の阿麻和利」OBで、今回の公演をサポートするスタッフの一人、仲本朱李さんです。

仲本朱李さん「メンバーがけがなく全力で楽しめるようにだけサポートに入りながら一緒に頑張っていきたいなって思ってます」

現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、琉球王国時代に活躍し勝連グスクの盟君主と言われた阿麻和利を主人公にした舞台です。そんな主人公、阿麻和利を演じる川根くんの普段の印象をほかの出演者たちに聞いてみました。

阿麻和利の妻 百十踏揚役 渡久地彩奈さん「普段は物静かでちょっと静かなんですけど、阿麻和利っていう役になると、普段とは全然違うハキハキとして、堂々としていて、とてもすごいなと思います」

踏揚の幼なじみで首里のスパイ 大城賢勇役 亀山蓮くん「教室の隅で一人でいるみたいな。学校ではおとなしいのに、(舞台の上では)なんかかっこいいみたいな。達巳に関しては、学校と阿麻和利のスイッチがある」

コロナの影響で、公演が中止、または延期する中でなんとか実施が決まった今回のグスク公演。コロナ対策のため、全員で集まって練習することが中々出来ず、ようやく全員が集まった練習でも慣れないフェイスシールドをつけての練習に苦労したと言います。

また、本番前の最後のリハーサルは、雨で中止に。不安の中で、本番が迫ります。

迎えた本番当日。お客さんが徐々に会場に集まってきました。

「肝高の阿麻和利 」6年ぶりのグスク公演

川根達巳くん「正直、いろんな不安とかあせりとかあったんですけど、最後の最後 まで気を抜かずに、天気も心配なんですけど、しっかり全力で頑張りたいと思います」

いよいよ本番が始まりました。雨が降る中、オープニングのシーンを懸命に披露します。公演時間はおよそ120分。阿麻和利が仲間たちと共に、悪政を敷いていた9代目城主を追放し、10代目城主となるところから、首里王府の策略によって、阿麻和利が討たれるまでの、その半生を描きます。

幕があがり、川根くんが演じる阿麻和利がサバ二に乗って登場します。

川根達巳くん「前半のシーンでは年が自分とあまり変わらないので、自分と近い考えとか、自分がもしその場にいたらどういう考えをするのかとかが 想像しやすくて、素の自分に近い感じでやっているので、そこがより自分らしいのかなと思います」

そして、物語は進み首里の王様からの命令で、護佐丸討伐に向かうシーン。

川根達巳くん「首里の王様から急ぎの報せが届いて、自分の義理のお父さんになるんですけど、その人が謀反を企てているから殺せというのなんですけど、それがふみあがりのおじいちゃんで、複雑な演技をしなくちゃいけなくて」

「肝高の阿麻和利 」6年ぶりのグスク公演

そして、クライマックスのシーン。護佐丸の仇を討つために旅芸人に扮した刺客によって、阿麻和利は討たれ、最後を迎えます。

川根達巳くん「最後に、『この勝連の半島を美しい豊かな蓬莱島にするのが、わしの夢だ』その阿麻和利様の思いを今度は、自分たちの誇りとしてこれからも肝高く頑張っていきます、肝高の阿麻和利グスク公演、本日は最後までありがとうございました」

観客「もうすごい感動しました、(観るのが)久しぶりなので。もっと観たいという感じです」

観客「最高でした、ほんとに。こどもたちの頑張りがいっぱい観れて、感動でしたね。きょうは、楽しかったです」

観客「すばらしいですね。何回か観てるんですけどね、これまでにホールでやるのと(勝連)グスクでやるのと、えらい違い」

3日間の公演には、およそ1500人の観客が訪れ、その舞台に魅了されました。

「肝高の阿麻和利 」6年ぶりのグスク公演

川根達巳くん「もう楽しかったです。ほんとに何回やっても楽しくて、最後のフィナーレの時にお客さんの拍手とか自分がその時に「うっ」ってきて ほんとにやっててよかったと思って」

Q阿麻和利の舞台はどうゆう存在?川根達巳くん「自分の居場所というか、もともと自分がとっても人見知りなので、この阿麻和利役をさせてもらうまでは、人前に立ったことも全然なくて、じゃべるのも苦手で、そんな自分にとって、新しい自分を見つけさせてくれた、ほんとに自分にとっての居場所だと思っています」

なお、川根くんら現高校3年生は、卒業公演に向けて準備中ということで、今後の情報について、詳しくはウェブサイトで確認ください。