”コロナと沖縄の1年を振り返るシリーズ”きょうのテーマは選挙です。新型コロナの影響を大きく受けた今年、玉城知事の中間テストとも位置付けられた県議選が実施されました。
そして、新しい政権の誕生に伴い浮上してきた衆院選。任期満了も控え、来年中に実施される衆院選を見据えた動きが県内でも活発化してきました。
新型コロナにより県民生活に大きな影響が出ていた中今年は県議会議員選挙が実施されました。今回の県議選は就任から2年となった玉城知事の中間テストとも位置付けられ、今後の県政運営を占う重要な選挙となりました。
しかし、今回は新型コロナの影響で、密を避けるための感染対策が呼びかけられ選挙戦では大規模な集会が開けなくなるなど普段とは違う選挙戦となりました。
誰も経験したことがない選挙戦ともいわれた今回の県議選。中にはこんな様子も。
実はこれ、県議選に先立って行われた出馬会見なんです。密を避けるために屋外で行われ、もちろん取材する記者も屋外という「青空出馬会見」でした。
コロナ禍を象徴するシーンの1つでした。
投票率も新型コロナの影響で外出を控える影響を受けてか46.96%と、前回の選挙に比べて6.35ポイント低く、過去最低となりました。
異例の状況で行われた県議選は玉城知事を支える与党のオール沖縄勢力は議席数を減らしたもののなんとか過半数を維持。
一方の玉城知事と対立する野党自民党は、議席数を増やし、中立系とあわせると与党との議席数の差はわずかとなりました。
玉城知事「県民の皆様にある意味、私の県政運営についても一定の評価を頂いたのではないかと思います。しかし結果的には議席を減らすというこの現実の状況をしっかり踏まえて、真摯に議会運営、県政運営にあたっていきたい」
新たな顔ぶれとなった最初の県議会も波乱の幕開けとなりました。議長の選出を巡り、慣例通り与党最大会派から議長が選出されるとみられていましたが。
玉城ノブ子仮議長「赤嶺昇さんが議長に当選しました。」
野党自民党などは、与党の立場でありながら、他の与党会派と距離を置いていた会派「おきなわ」の赤嶺昇議員を支持。与党の足並みの乱れにつけこんだ形で赤嶺議員が議長に当選しました。
自民党県連・島袋大幹事長「まさしくオール沖縄の崩壊だと思っていますから、しっかり2年後の県政奪還も含めて、玉城県政に対して揺さぶりをかけるしかないと思っている。」
県議選で議席数を増やした自民党。勢いそのままに攻勢を強めたいところでしたが。
自民党県連・島袋大幹事長「このたび自民党会派18名で県内離島視察を行い、結果12名が新型コロナウイルスに陽性反応が出て、クラスター認定され、県民の皆様に不安とご迷惑をかけたことをおわび申し上げます」
自民党県議団が10月に行った離島視察で会食などを行い、集団感染、クラスターが発生。これまでの勢いを足踏みさせる形となり新型コロナの対策なども議論するはずの県議会議員にも新型コロナが影を落としました。
そして今年は、7年8か月ぶりに総理大臣が代わり菅政権が発足。それに伴い、足音が聞こえてきたのが衆議院選挙。県内でも衆院選を見据え、動きを見せはじめました。
日本維新の会(当時)・下地幹郎衆院議「100万円の現金が入った封筒を受け取った事実が判明しました。誠に申し訳ありませんでした」
1月、IR汚職事件で逮捕された中国企業の元顧問から現金100万円を受け取ったことを認めた下地幹郎衆院議員。これを受け、下地氏は所属していた日本維新の会から除名処分を受け、無所属となりました。
10月の終わり、その下地氏の姿は自民党県連にありました。
下地幹郎衆院議員「復党願いを提出しました」
次の衆院選を見据え、下地氏は自民党県連に復党願いを提出。県内の経済団体も保守合同のために、下地氏の復党を後押ししていますが、自民党県連はこれを認めていません。
復党の決定権は自民党本部にあるため、本部の決定次第では、今後の選挙態勢に大きな変化がありそうです。コロナ禍でも様々な動きがあった選挙、政治。2年後の知事選を前に、来年はオール沖縄と国政与党・自民党の攻防が激しくなる年になりそうです。
ここからは船越記者です。VTRにもあったように新政権の発足後は衆院選の話も出るようになりましたが衆院選はいつ頃実施されるんでしょうか。
船越記者「早ければ年明けにも衆議院を解散して選挙との話も一時期はあがっていましたが、新型コロナの感染状況が落ち着いていないことや菅総理大臣はまずは仕事をしたいという意向を持っているので年明け早々の解散、そして選挙の実施は見送られるという見方がだいぶ強くなっています。その後のタイミングは新型コロナの感染状況やオリンピック開催などの状況を踏まえてという形ですがいずれにしても10月には任期満了になるので来年中には選挙が実施されます」
県内の衆院選に向けた動きはどうなっているのでしょうか。
船越記者「今のところ各選挙区で現職を中心にオール沖縄勢力と自民党が争う形になる見込みですが那覇を中心とする沖縄1区はどうなるかわかりません。この選挙区は、自民党からは國場幸之助氏が出ていますが、國場氏は、選挙区では2連敗しています。自民党は選挙区で2連敗した場合、比例との重複立候補ができないとの方針があり、國場氏はこれに該当するとみられていて、國場氏が選挙区で出るのか比例で出るかどうかが注目されます」
これは下地幹郎氏の復党の問題も関わるんでしょうか。
船越「下地氏も比例での選出ですが選挙区では沖縄1区から出ています。この選挙区では前回、國場氏と共産党の赤嶺政賢氏も選挙区で出馬していますが、下地氏と國場氏の保守2人が分裂したことで赤嶺氏が当選。2人は比例での復活当選となっています。それもあって経済団体は「保守合同」を訴えているんです。そして今年は、宮古島市、浦添市、うるま市でも市長選挙が行われます。衆院選、そして2年後の県知事選に向けオール沖縄も自民党も勢いをつけたいところなので激しい戦いになるかもしれません」
船越記者でした。