さて、きのうはこのQプラスでサッカーの競技人口の裾野を広げていこうという取り組みをご紹介しましたがきょうはこちらです。沖縄では熱が高いと言われている野球でも今、競技人口の減少が課題になってきているんです。
こちらをご覧ください。こちらは中学校における各競技の男子部員数の推移を表したグラフです。全体的に減少傾向にあるのは心配なのですが特に急激に減少しているのが軟式野球というのが見てわかるかと思います。深刻化する野球離れは高校野球にも影響を与え始めているですが、そんな中で元プロ野球選手たちが動き始めています。
今年の県高校野球秋季大会。この大会には部員不足によって開邦・南部農林・久米島・辺士名の4校連合をはじめ過去最多の10校が連合チームで出場していました。全体でも55チームの出場は2年前の秋に比べ、なんと10チームの減少。さらに単独で出た52チームのうち登録数の20人に満たないチームが19チームもありました。
野球王国と言われる沖縄でも今、徐々に「野球離れ」が露わになり始めているのです
大野倫さん「子どもたちが野球をしなくなったとそういうことを聞いてまさか~そんなことはないだろうと思いながら見ていたんですけど」
そんな現状を変えようと活動しているのが、投手として沖縄水産を甲子園準優勝に導きプロ野球では巨人やダイエー(現ソフトバンク)でプレーした大野倫さん。去年1月にNPO法人を設立し「野球未来プロジェクト」と題して、保育園や小学校の体育の授業で子どもたちに野球を教えています
大野倫さん「初めてバットを振る人~?半分以上が初めてね。大野さんショックだけども、きょうを機会にバッティングって楽しいなっていうことを感じてください」
大野倫さんバッティング指導「思いっきり打ってごらん!OKOK!もっと飛ばしてよ~ ボール打ってないなぁ」
大野倫さん「僕らの世代は野球が一番のメジャースポーツであぐらをかいていても野球をする子がたくさんいたんですよ」「子どもたちの日常の遊びの中に野球がなくなってしまって野球に触れたことがないから野球の楽しさもわからないし、それでどんどん野球から離れていく子どもたちが増えていって今に至る」
大野さんは、今や公園などでキャッチボールすらしてはいけない場所が増えていることや、学校でも野球を教えられる先生が少ないなどの理由で子どもたちが野球に触れる機会が減っていると考えています。
また、同じく野球人口の減少に対し活動しているのが元日本ハムの投手・糸数敬作さん。糸数さんは、学童への野球教室と並行して「お父さんのための野球教室」を開催。そこでは子どもが野球をする上での親の苦労が漏れ聞こえてくるといいます。
糸数敬作さん「厳しいお父さんたちの意見だと親の負担が大きい。長男はさせていたけど長男の時にすごく大変だったから弟は5年生になるまで待っててと言っているんです、とか」
親の負担が大きいために子どもに野球をやらせたくないという家庭もあり糸数さんはその認識を変えていきたいと話します
糸数敬作さん「親のサポートなしでは子どもはスポーツはできないので大変だ大変だというのは子どもに伝わっちゃうと思うので、別の発想で親は子どもの成長が楽しい私も6人いるのですごく楽しみで子どもの成長の場に親も参加するっていう目線で」
そして野球少年たちを親だけでなく地域で育てることが必要だと話します。
糸数敬作さん「沖縄の人って野球が好きでどの高校が甲子園に出ても高校関係なく沖縄から出る高校という感じで県民が応援するじゃないですか。野球人口を増やしていくのには地域単位で子どもたちを盛り上げていく、地元、チーム、地域チームという感じで、地域の人たちが応援する形(がいい)」
地域での活動については高校球児たちも一役買っています。2018年に日本高野連がこれまで原則許されていなかった高校の野球部員による小中学生への指導を解禁。これも野球人口減少に歯止めをかけるための施策で高校球児が地元の野球少年たちとの交流が可能になりました。
さらに美里工業高校では練習後にカレーを振る舞うなど子どもにも保護者にも野球を通して楽しい時間を過ごしてもらいたいと取り組んでいます。
野球王国・沖縄の復活のためには底辺拡大への取り組みが急務となっています。地道な活動を続けてきた大野さんも少しずつ手ごたえを感じているといいます。
先生「感想を言えるお友達!」児童「楽しかったです!また教えてください!」児童「また一緒にやりたいです!」(いつでも来ますよ)
大野倫さん「野球楽しかった人~?(は~い)じゃああしたから野球チームはいる人~?(は~い)よぉし本当だな?笑。色々なスポーツがあるからこうやって野球を通してバスケットでもバレーボールでもサッカーでも、スポーツをぜひ好きになったくださいね!その中で野球が一番になってくれたらうれしいな!」
子ども達「サッカーがいい!」「野球がいい!」
大野倫さん「野球を楽しさをしっかり子どもたちに伝えていければなと、そういうところが野球人気の復活につながってくるんじゃないかなと思います」