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きょうは「乳がん」についての特集です。山城アナが取材しました。

“乳がん” 正しく知る大切さ

山城アナ「こちらをご覧ください。全国で乳がんと診断された女性の人数、いわゆる「罹患者」の数を示したものです。近年、増加傾向にあることがグラフからわかります。2017年は9万1000人と、2003年と比べて2倍以上に増えています。女性が生涯で乳がんになる確率でいうと、2003年は『30人に1人』とされていたものが2017年は『9人に1人』となっていて、女性がかかるがんで最も多いのが乳がんなのです。大切なのは“早期発見”です。そのために、乳がんの正しい知識を身に着けることの大切さと検診の重要性を訴え続ける人たちがいました」

“乳がん” 正しく知る大切さ

NPO乳がん患者の会 ぴんくぱんさぁ・与儀淑恵代表「リスナーのみなさん、いかがおすごしですか?きょうもピンクリボンタイムをお聞きいただきありがとうございます」

浦添市のコミュニティラジオで放送されている乳がんについて学ぶ番組「ピンクリボンタイム」。週に一回、日曜日の正午から1時間放送されています。

NPO乳がん患者の会 ぴんくぱんさぁ・高澤嘉津子さん「乳がんになっても自分らしく生きることができる人が増えることを願って、乳がん学びタイムをラジオを聴いている人に繋げていきます」

パーソナリティーは、乳がんを経験した人や今乳がんと闘っている人たちでつくるNPO団体・ぴんくぱんさぁのメンバーで、普段は悩みを相談しあう患者会を開いたり、乳がんの早期検診などを呼び掛ける活動をしています。

与儀代表「外に出られない環境でもあるし、みんなで勉強をしようかっていうことで、今回学びのタイムを設けました」

NPO乳がん患者の会 ぴんくぱんさぁ・奥間洋子さん「自分ができることで、患者会を通して啓発活動ができればと思って。ラジオもちょっとかむことも多いんですけど、お手伝いしてます」

高澤さん「8月から始まった学びタイムも10月で一通り終え、きょうからもう一度、パート1から勉強していこうと思います」

実は正しい知識をもって乳がん患者に寄り添える人を増やそうと、7年前にピンクリボンアドバイザー認定試験というものが始まりました。

これまでに合格者は全国でおよそ14000人にのぼり、主催者は2030年までにアドバイザー10万人を目標に取り組んでいます。試験会場は東京や大阪など12カ所のみでしたが、沖縄では去年に続いて特別に来年1月の開催が決まっていて、ピンクリボンタイムは試験に向けた勉強会でもあります。

初級・中級・上級と試験のレベルが三段階にわかれていて、番組を担当するみなさんも去年、初級に合格しました!

“乳がん” 正しく知る大切さ

乳がんとは多くが乳房の中にある母乳の生成や分泌を行う乳管などから発生する悪性の腫瘍のことです。乳がんは神経がなく、痛みなどの自覚症状がわかりづらいため、検診による早期発見が大切です。

閉経後の乳がん患者が増えているのは明確な理由があると、乳腺の専門医である宮良医師は話します。

“乳がん” 正しく知る大切さ

宮良クリニック・宮良球一郎医師「閉経後の肥満が増えてるので、それが大きな原因。(Q:シンプルに肥満の人が増えてるから乳がんも?)その通り。肥満の人が増えてるから乳がんも増えている」

乳がんの発生と深くかかわっているのが「女性ホルモン」。この女性ホルモン、閉経後は主に脂肪から作られているため、肥満になると、その分、乳がんになるリスクが高まるというのです。

宮良医師「県内の乳がんの発生の仕方は年齢とともに増える。これは欧米型です」

“乳がん” 正しく知る大切さ

これは女性の人口10万人あたりの乳がんにかかる人数を年齢別で示したものです。全国の乳がん患者の推移では40代後半と60代で乳がんになるリスクが高まります。これに対し、県内の推移をみると、年代ごとに乳がんの罹患率は上がり続け、60代をピークに80代以降も罹患率が高いままなのがわかります。

沖縄はこうした右肩上がりの欧米型パターンを示しています。過去に宮良医師が診察した患者の中には、96歳で初めて乳がんになった人もいたといいます。

宮良医師「70歳になったから自分はならないとか、80歳になったからならないとか、沖縄では通用しない。いつでもなる可能性がある」

飲み会終わりのステーキや気軽に食べられるハンバーガーなどを食習慣にしている私たちの姿勢が欧米化へと拍車をかけています。

宮良医師「食生活が欧米化っていっていれば、それは5人に1人にまでなる可能性をもってる。今、肥満の人たちがやせる努力をするということは乳がんの発生数を減らす。ということは、9人に1人で(患者数が)止まる」

高カロリーな食生活を改善し、日ごろの運動を見直して、肥満増加にブレーキをかけないと、今後も乳がんが増える可能性は拭えません。

与儀代表「昔、わたしが乳がんになったころは自分が乳がんであるということを人になかなか言えなくて。そういったことによって、かえって自分の知りたい情報が得られないという状況があった」

乳がん患者の会で代表を務める与儀淑恵さん。初めて乳がんを告知されたのは19年前でした。

与儀代表「私の場合は(乳がんが)とても進んでしまってからわかったことだった。本当につらい治療が待っていて、抗がん剤もやりました」

抗がん剤の治療による副作用で髪の毛は抜け、不眠が続き、心も体もつらい時期が続きました。

与儀代表「その時、一緒に同じ病気と闘っている仲間の支えあい、励ましあいが本当に力になって、つらい治療を乗り切ることができたんです。これってとても大事だな」

“乳がん” 正しく知る大切さ

仲間と支えあったことでつらい治療を乗り越えられたと語る与儀さん。患者会を立ち上げ「乳がんで苦しむ人を減らしたい」と早期検診の重要さを自身の経験とともに伝えています。

高澤さん「自分の病気のことを知るのが怖いって最初は思うんですけど、でも実はこうやって勉強して知ることで、逆にわたしは怖くなくなって。そっかこういう風に治療すれば大丈夫なんだとか。正しく怖がるということをすごく学んだ」

乳がんは“女性特有のもの”というイメージが強いため、男性側はどう接していいかわからず、戸惑ってしまう側面があります。

男性カメラマン「パートナー的にどうしたらいいんだろうっていうのが一番(気になる)」

高澤さん「友達とかにもすごく言われた!男性も乳がんのことを知って、全然恥ずかしい病気ではないので。心のサポートとか、友達だったらラインしてあげたり、声をかけてあげたりしたほうが、その方も楽になるんじゃないかなって」

NPO乳がん患者の会 ぴんくぱんさぁ・城前ふみさん「乳がんになってもならなくても、普通に今まで通り接してくださいっていうことよ。どうして普通に接することができないかっていったら、乳がんを知らないからなんだよね。がん=死っていうイメージがあるから、そういう風にみんな引いてしまうんだけど、そうじゃなくて、私たちが発信してるのをみんなに知ってほしい」

特別なことは必要なく、今まで通り接して、支えてあげることが大事だと教えてくれました。

与儀代表「自分の妻が、母が、娘が、このひとり(乳がん)になるかもしれないから検診に行っておいでよっていう後押しをしてもらいたい。家族からの、身近な方からのこういうフォローっていうのはすごく大事なことだと思います」

“乳がん” 正しく知る大切さ

乳がんになっても早く見つけることができれば乳房を温存できる確率があがり、その人に合った治療を行えば、命を救える可能性も高まります。

宮良医師「正しく見つけて正しく治療するというのが、乳がんの死亡ゼロにする方法じゃないかと思います。周りがちゃんと正しい知識を持てば、当事者もそうだし、周りも持てばいい治療といい人生と、そこに繋がってくる。だから正しい知識を持つことが大事」

与儀代表「今、乳がんの告知を受けたばかりの方、手術や治療に向かい、不安でいっぱいな方。同じ体験者の話が聞きたい、そう思っている方は決して少ないくないはずです」

無知や無関心でいるのではなく、乳がんの正しい知識をもって正しい治療をしてもらうことが今、私たちにも求められています。

山城アナ「実は県内でも年間10人弱の男性が乳がんと診断されていて、女性だけの問題ではありません。今回取材して、改めて知らない・無関心というのがどれだけ怖いのかということを感じました。自分が、パートナーが乳がんになったときに、正しい知識をもって接すること。早期に発見することで心と体の負担も減りますから、検診に行くことの大切さをみなさんに知ってほしいです」