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新型コロナの県独自の緊急事態宣言が解除されてきょうで6日。収入の多くを観光に頼る渡嘉敷島では今、厳しい状況が続いています。多くの離島で成り立つ沖縄にとって、決して特別な例でありません。現状と課題を考えます。

那覇から西に40キロ。美しいケラマブルーの海が広がる渡嘉敷島。人口およそ730人が暮らしています。例年、国内外から13万人もの観光客が訪れますが、今年は新型コロナによる影響を受け4月以降の観光客数は例年の2割以下に落ち込みました。

この事態に、座間味秀勝村長は、島を結ぶ船の航路事業に至っては2億円以上の赤字になると危機感を募らせていました。

渡嘉敷村・座間味秀勝村長「一番稼ぎ時の夏場にこれだけの数字ということは、1年を通してみても半分もいかないのではないか。大変厳しい状況。大変不安を感じている。感じながらの生活は今も続いています。」

緊急事態宣言後の離島の現実とこれから

これまで、コロナの患者は確認されていませんが、島に一つだけの診療所には、医師と看護師が一人づつ常駐しているだけの脆弱な医療体制のなか、村民の命と経済を守るかじ取りが任されています。

渡嘉敷村・座間味秀勝村長「少ない人口。少ない人員で、この対応していかなければならないという負担は非常に大きいと言うふうに感じています。」

一方、村民の多くが観光で生計を立てる渡嘉敷島。島にはおよそ20店舗の飲食店がありますが、いずれも厳しい状況だといいます。

新垣徹(シンガキ・トオル)さん「外部からの観光客が入らないことには島の経済は活性化していかないので、日帰りのお客さんが、この繁忙期に来れなかったことは、かなり大きな打撃になった。」

本来、飲食店や宿泊施設にとっては5月から9月は書き入れ時。しかし今年はその期間がまるまる自粛期間と重なってしまいました。島の商工会長で自身も飲食店を経営する新垣さんの店も、売り上げは去年から6割も減少。しかし影響はそれだけにとどまりません。従業員の雇用です。

新垣さん「渡嘉敷の場合は、島外から来た人を社員寮を使って住み込みという形で使っている人がほとんど。住まいをタダにして、とりあえず最低限度の生活ができる形で補償しながらコロナの収束を待つということだと思う。」

従業員の雇用を一度やめてしまうと、再雇用することは難しいことから、人手の確保のためにギリギリの対応で今をしのいでいました。さらに新型コロナによる影響は、島の暮らしにも影響を及ぼしていたのです。

島内で貸し切りバスや路線バスを運行するこちらの会社では、島の路線バス2台を運行しています。ところが。

玉城さん「現状のままだと、休止か廃止の方向で検討している状況。ただ乗り合い(路線バス)はどうしても村民、おじぃおばぁの足でもあるので、できる限り現状維持をやっていきたい。」

観光客を相手にする貸し切りバスも、4月から9月の今年の売り上げは例年800万円ほどあるものが、およそ50万円にまで減りました。しかし、その一方で路線バスの運行には、運転手の給料など維持経費に、毎月70万円ほどが必要です。

玉城真(たまき・しん)さん「診療所とか役場、郵便局に行くためにどうしてもお年寄りが必要なのはわかっているんですけれども、やっぱり厳しい状況ですね。」

会社では存続のための支援を村(そん)に求めています。こうした現状について村長は、これは決して渡嘉敷島だけのことではないと話します。

緊急事態宣言後の離島の現実とこれから

渡嘉敷村・座間味秀勝村長「「同じような環境。同じような状況に置かれている島はたくさんあると思います。県内は1頭1村1自治体というところもたくさんある。離島のなかでさらに離島を抱えているところもある。今後もwithコロナのもとで経済活動を実施していくためには、感染防止対策が必要。それをできる財源を国、あるいは県にお願いしていきたい。」

豊かな自然と伝統文化が残る渡嘉敷島。ことしは伝統行事の綱引きも中止に追い込まれ、旧盆には島民に島に帰ってくることも自粛を求めました。それでも、緊急事態宣言が解除されたことで、次の展開に向けて取り組んでいます。

渡嘉敷村・座間味秀勝村長「前を向いて、上を向いてと言いましょうか、そういうふうに行きたいと思っております。」

経済の活性化と命を守る感染症対策。離島の姿は、沖縄の縮図でもありました。

渡嘉敷村としては、現在、国や県のコロナ対応の臨時交付金などを活用し、この時期を、感染対策の充実や、人材の育成、次の観光コンテンツを考える機会として前向きにとらえています。

一方で、6年前に慶良間諸島が国立公園に指定されてからは外国人観光客の人気も高く、10月以降は、県内の小中学校の修学旅行の受け入れなどにも力を入れて、観光産業を活性化させようと取り組んでいます。

緊急事態宣言後の離島の現実とこれから