きょうは旧盆のナカヌヒーです。あすはウークイということで、例年であれば各地で賑やかにエイサーの太鼓の響きが聞こえてくるのですが、ことしは違っています。
新型コロナウイルスの影響で多くのエイサーが各地で中止に追い込まれました。そのうちのひとつ、糸満市の米須青年会の思いを取材しました。
勇壮な太鼓の音色に、躍動するニーセーターの踊り。旧盆の恒例行事エイサーは、沖縄の夏の風物詩です。しかし…。
福元柚希さん「エイサーがない夏って初めてなので。米須に住んでいるんで、ずっとちっちゃいころから見ているから(エイサーが)ないのは、初めてなので、たぶん地域の人も、寂しく感じているんじゃないですかね」
伸びきった雑草を見つめ、寂しそうに話すのは、糸満市米須青年会の福元柚希さん。
柚希さん「周りも本当はきれいに整備されているはずなんですけど、練習もせずに伸びきった雑草で、なんか、冬の青年会館みたいな感じで寂しいです」
糸満市米須青年会。数年前まで存続の危機に立っていました。40年以上続く歴史ある青年会を存続させようと、柚希さんらは地域を問わずにメンバーを勧誘し見事復活。現在はおよそ40人が所属しています。
柚希さん「櫓は真ん中に立ってて、櫓の回りを提灯がばーっという感じで、華やかに。お祭りって感じですね。ザ・お祭りって感じでやってます」
しかし、今年は新型コロナの影響で盆踊りが中止に。エイサーを披露する機会を失いました。
柚希さん「(Q:大詰めの練習もたくさんして、本番を迎えるぞっていう時期?)そうですね。うちは祭なので、ちょっと櫓を囲って、陣形組んで踊ったりするんですけど、それをもう本当にピークの時。みんながピリピリしている時」
地域をつなぐ特別な存在となっているエイサー。そんなエイサーがことし、各地で米須青年会のように中止に追い込まれる状況となっています。
柚希さん「ちっちゃい頃から見てたので。米須にとってなくてはならないもの」
現在はOBとして青年会を支える福元柚希さん。ことし新たな会長は、親戚の福元信吾さんが引き継ぎました。
糸満市米須青年会・福元信吾会長「この地域はおじいちゃん、おばあちゃん方も多いですし、子どもたちが少ない状況ではあるんですけれども、このエイサーという一つの伝統行事を通して地域の活性化につながることだと思うので。やっぱりエイサーをすることによって、米須が元気になってくれたらっていうのはあります」
地域を元気にしたい。しかし、コロナの収束が見えない今、復活したばかりの青年会活動へも今後の不安が残ります。
信吾さん「やっぱり1年空いてしまう。ましてや来年は必ずできるって約束されている状況ではないので、この間にまた減ってしまわないかとか、そういうちょっと不安な点があるんですけども」
米須青年会の会長の任期は1年。信吾さんはエイサーができないまま会長の役目を終えます。
信吾さん「今年の1年でどうにか下の子たちにも、この年間のスケジュールだったり、祭りを運営するにあたっての、いろいろやることがいろいろあるんですけど、そういうのを教えていくという1年にしようと自分の中では考えていたので、まさかって感じでね」
柚希さん「去年僕が終わってそのまま引き継いで、何もない状態で会長が1年で変わってしまう。できれば僕が(この状況を)代わってあげたいなっていうのがあります」
地域をつなぐエイサー。その地域のお年寄りを守りたいと、エイサーの中止を決断した青年会。ことしの悔しさを胸に抱きつつも、2人は今後の活動に意欲を語りました
柚希さん「今回はいろんな策を考えて、結果中止という形になってしまったんですけれども、今はSNSだったりとかいろいろな方法で発信ということはできると思うので、それを今回の中止を次につなげる。一つのきっかけではないですけど、マイナスに捉えなくてもいいのかなと思います」
信吾さん「エイサーに繋げるためではなくて、地域の人たちと繋がる方法はいくらでもありますし。ちょっとした交流の場を色々考えて、年間を通して何かしら機会を作るって感じです」
コロナで消えたことしの夏のエイサー。それでも前を向く若者たちの思いが、これからも地域をつなぎます。