ここからは取材した町記者とお伝えします。町さんアメリカ兵ら2人が起こした事件。また様々な課題が見えてきましたね。
町記者「はい。捜査から犯人逮捕の過程には「日米地位協定の壁」が見えてきました。県警は事件から3日後には2人を沖縄警察署に呼び、任意で事情を聴いていましたが、日本側は起訴まで身柄を拘束できないため、2人は事情聴取を終えると、また身柄が基地内に連れ戻されるという状況が続いたんです。アメリカ軍の事件や事故を数多く請け負ってきたコザ法律事務所の新垣勉弁護士は・・・」
コザ法律事務所 新垣勉弁護士「殺人や強盗事件以外の事件については米軍がなかなか被疑者の身柄を任意に引き渡そうとしない。そのために県警は裁判所で逮捕状をとる手続きをしないで、任意で米軍から被疑者を警察に連れてきてもらって、警察で取り調べをして、取り調べを終えると、再び基地に戻す。そういう形で任意の取り調べをしている例が最近は続いています」
そしてこちらですね。
町記者「こちらに1998年から県内で発生したアメリカ兵などによる事件をまとめました。身柄が引き渡されたのは、2件しかなかったんです」
ひき逃げや放火では、身柄引き渡しが行われていないんですね?
町記者「はい。1995年の日米合意で、身柄引き渡しについては、殺人や強姦などの凶悪な事件については好意的な配慮を払うとありますが、それ以外はほとんど実現していないのが現状なんです」
しかし、犯人の身柄を取れないということになると、色んな弊害がありそうですよね。
町記者「それについて新垣弁護士はこう指摘しています」
コザ法律事務所 新垣勉弁護士「県警は犯罪が起きたときに、なぜ被疑者を逮捕するのかというと、被疑者が逃亡しないようにする。それから、もう1つは証拠隠滅を被疑者が行わないようにするという。この2つの目的で逮捕して勾留するんです。それと同じような拘禁の仕方を米軍が基地内でやってるのか、やっていないのか、この辺が担保されていないというところに大きな問題がある。過去の経緯を見てみますと、基地内にいる被疑者が共犯者と連絡を取り合ったり、あるいは被疑者が米軍が知らない間に、本国に帰っていたりする。そういう事案が過去に発生していたんです。ですから基地内にいる被疑者がどのような行動をしているのか県警の方ではよく把握できませんので、問題を生じる恐れが強い」
今の状況ですと、身柄が拘束される前に犯人が逃げてしまう事があるということですよね。
町記者「はい。新垣弁護士は、アメリカ軍の被疑者の拘禁の状況について、具体的に説明を求めることが必要だとしています。
コロナのニュースもそうなんですが、県民は基地と隣り合わせに暮らしているわけですから、きちんと情報を開示してもらうことが必要だと思います。