きょうまずは、シリーズ「コロナと闘う」です。新型コロナの県内感染者は県の発表によるときょうもゼロを続けていますが渡航自粛の影響で観光客が激減し、土産物としても人気のやちむんが、ピンチに陥っています。そんな今、伝統を守るため、やちむん職人が立ち上がりました。
「コロナで大打撃。沖縄の陶器『やちむん』の行き先を探してます!」今月1日、インターネットサイトで訴えられた切実な声…新型コロナで売り上げが激減した”やちむん”を支援してほしいと壺屋陶器事業協同組合がネット上で寄付などを募るクラウドファンディングサイトで呼びかけたものでした。
沖縄のやちむんは今どうなっているのか?現地を訪ねました。この日はちょうど、年に4回の「窯焚き」の日。登り窯に陶器を詰めて焼き上げる工程は、例年通り行われていました。しかし、工房の売店にお邪魔すると…
島袋常秀さん「ものがこれだけそろっているというのはさばけていないからですね、普通なら登り窯を焚く今の時期はものがないから窯を焚くわけですよ」 Qこれ以外にも在庫はあるんですか?島袋常秀さん「この下にも在庫がこうしてあるんです」
さらに
島袋常秀さん「これ全部在庫です置き場所がないくらいこんなにいっぱいある」 倉庫も、お店の棚も全部在庫だらけです。だって3カ月間物が動いていないんですから」
店には、行き場を失った大量のやちむんが所狭しと置かれていたのです。買い手を失った”やちむん”が店いっぱいに置かれる光景。
島袋常秀さん「前代未聞のことで、今まで何十年も生きてきたけどこんなのは初めてですからね、ショックですよね」
この道45年、組合の理事長も務める島袋常秀さん。新型コロナが、多くの観光客でにぎわうはずだったゴールデンウイークを直撃。4月以降、どこの工房も売り上げはほとんどたっていない状態だといいます。
島袋常秀さん「例年ですと壺屋の通りもやちむん通りもにぎわっていますし、ここのやちむんの里も駐車場満杯でみなさん散策して歩いているのが普通ですけど、それが駐車場にも車もゼロ、人も歩かない状況でしたから一番の書き入れ時に来ないというのは一番の痛手ですよね」「物作っている人たちも生活がありますからね、この人たちのためにも給料を払わないといけない、支払いはしているが苦しいですよねこっちとしては」
職人たちが頭を抱えていたところに、持ち掛けられたのが、クラウドファンディングでした。
島袋常秀さん「私たちが困り果てている状況だったんですね。その時にクラウドファンディングで販売することができると聞いて。組合の人たちに声かけをしたら『うちもうちも』と」
プロジェクトに参加しているのは、組合に加盟している26の窯元のうち、21の窯元。インターネットサイトでは、各窯元が数量限定で食器のセットやシーサーなどを出品していて、「応援したい」という人は好きな商品を選んで購入する仕組みです。
全国からのやちむん人気は根強く、きょう午前には、売り上げは230万円を超え(232万7500円)目標の300万円に迫る勢いです。窯の状態を維持するため、商品が売れない危機に直面しても、窯の火を消すわけにはいかないといいます。しかしそれ以上に、職人たちは沖縄の伝統を担う使命感を燃やし続けています。
島袋常秀さん「私たちはこの仕事をコロナだからといって辞めるわけにはいかないんですよね、みんな工房で黙々とマスクをしながら作業するのが全体の流れ。コロナはあるけど仕事はやめられない、コロナに負けないぞと頑張っています」
目標金額の300万円は達成しても、商品はまだおよそ130点あって7月15日まで購入することができる。