新型コロナの収束を願い、老舗和菓子店が作った「あるお菓子」が話題となっています。甘~いお菓子のモチーフになっているのは?
那覇市首里にある創業89年の老舗「首里知念製菓・和菓子四季彩」。いま、あるお菓子が話題を呼んでいます。
伊波アナウンサー「こちらをご覧ください。疫病を払うといわれる妖怪『アマビエ』をモチーフにした上生菓子が並んでいます。」
「病が流行ったら私の絵を描いて人々に見せよ」。「アマビエ」とは疫病を払うと伝わる妖怪で、新型コロナの感染が広がる中、SNSなどで注目されるようになりました。
3代目の知念秀和さんは、全国の菓子店がコロナ退散の願いを込めアマビエの商品を作っていることを知り、「沖縄でも」と考え、製作にとりかかりました。
知念さん「最初はアマビエ自体の存在を知らなかった。全国的にお菓子屋さんも非常に厳しい環境で営業している。そういう中でもどうにかお菓子で皆さんに幸せになってほしい。」
今回、菓子職人の前田香鈴(こすず)さんがデザインから製作まで全て1人で担当。味も見た目も楽しめることから、お客さんの反応も上々のようです。
常連客「妖怪というよりはかわいい感じ。」
菓子職人・前田香鈴さん「作業が細かいので時間がかかるんですよ、どうしても。まさかここまで作るとは思っていなかったので、コロナで家にいる機会が多いと思うが家でも楽しんでもらえたらいいな。」
新型コロナは、老舗和菓子店にも容赦なく影響を及ぼしました。県の休業要請を受けて、お茶の稽古やカルチャーセンターが自粛となり、お菓子の売上が減少。さらに、紅白まんじゅうの注文を受けていた学校の入学式が前日(直前)に延期決定となり、大量の在庫を抱えてしまいました。
知念さん「箱にすると500箱、紅白で1000個。僕らも初めてその量をキャンセルで戻ってきた」
そんな中、地元の菓子店を助けようと、保護者などを中心にSNSなどで「たくさん在庫を抱えていると思います。情報の拡散をぜひよろしくお願いします」「まんじゅう食べたい方は是非」といったメッセージが広まり、1000個近いまんじゅうはおよそ5時間で完売しました。
知念さん「半分は処分する覚悟で引き取ったが、こういう形で保護者の方の拡散によって無駄なく販売できたので非常にありがたいと思っています。」
新型コロナの収束、そして地域の人たちへの感謝の思いを込めてきょうもお菓子作りに精を出します。
知念さん「今回ぼくらは和菓子「アマビエ」を作る形で、皆さんが今まで通りの生活に戻れるように願っています。」