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高校生スポーツの「夏の祭典」インターハイ。全国大会は中止になりましたが、県大会にあたる県高校総体は来月開かれることになりました。

例年のように全国の大舞台を目指すことはできません。しかしいつもと違う夏だからこそ後輩たちに伝えられることがあると力を尽くす3年生たちを取材しました。

「声出していこう!!」「お~!!」

前原高校 空手道部。春の選抜、夏のインターハイ、秋の国体と県代表選手を数多く輩出し沖縄高校空手を牽引する学校の一つです。

空手は演武での技の切れや力強さ、美しさを競う「形」そして突きや蹴りでポイントを競う「組手」の2種目があります。元気いっぱい、気迫に満ちた先輩たちの姿は代々後輩たちの心に受け継がれてきました。

現3年生も去年秋、九州大会で上位に入り男子組手の団体と個人、それに女子個人形で3月の全国選抜出場が決まっていました。しかし・・・

”消えた夏”3年生空手部員が”伝える夏”に

新屋乙葉 女子主将「ショックだった。ショックしかない」

山根龍人 男子主将「このメンバーとも終わりかなと思って大会が無いまま終わってしまうのが辛いと思った」

新型コロナの影響で全国選抜さらに3年生にとって最後の夏を飾るはずだったインターハイも中止に。

しかし、県高体連は先週、沖縄での新型コロナの感染状況が落ち着きつつある中、特に3年生の活躍の場をつくりたいと、来月18日から県独自の高校総体の開催を決定。30競技が行われる予定です。

新屋乙葉 女子主将「今までやってきた仲間で最後までできることはすごく良い機会をもらったので沖縄県の先生だったり動いてくれた人たちに感謝したいと思う」

”消えた夏”3年生空手部員が”伝える夏”に

山根龍人 男子主将「県総体の目標は(全国大会)派遣はないが優勝目指して頑張っている。コロナに負けないような元気のある姿を見せたい」

前原の3年生は選手を含め9人。最後まで部活をやり抜くことを決めています。そこには悔しい夏だからこそ後輩に伝えたい思いがありました。

全国大会、インターハイはなくなったものの来月開催が決まった県高校総体に向け、心を新たに練習を再開している、前原高校空手部

女子空手部の主将は新屋乙葉さん。「形」では体の大きな選手に負けないようにと磨いた技のキレやスピードが持ち味。県総体でも優勝争いに名乗りがあがる注目選手です。

さらに「形」競技の3年生にはうれしいニュースも。全国高体連の空手専門部では演武の動画を全国の選手から集め審査する「形インターネットグランプリ」を開催。

従来の大会と同じく予選、決勝とありいくつかの形を演じ分ける必要が出てきます。その準備も始まっています。

新屋乙葉 女子主将「全国大会自体オンラインでやるというのもなかなか無いと思うし、すごいいい発想で有難い機会だと思う」

そしてもう一つの喜びは1年生の加入で5人1チームの組手団体戦に出場できること。

”消えた夏”3年生空手部員が”伝える夏”に

新屋乙葉 女子主将「これが最後で3年生はこれから進学だったり就職だったりで空手を続ける人もいれば辞める人もいるみんなで最高の悔いがないというくらい笑顔で終われる試合にしたい。自分たち3年生が1、2年生を引っ張ってこんな3年生になりたいという思いが芽生えてくれたらいい」

一方、男子団体のキャプテン山根龍人くんも後輩たちに引き継ぎたい前原の伝統がありました。

山根龍人 男子主将「前原高校のいいところはやっぱり一人ひとりが大きな声で盛り上げて楽しく空手をしているのがとても印象強い。(後輩たちには)自分たちの背中を見て頑張ってもらいたいと思っていて今はこういう状況だが後々コロナが収まってきたら一から頑張って欲しいと思っている」

そして、大会開催に奔走した指導者たちはこうした3年生の思いに目を細めています。

松田弘樹監督「逆に私の方が(空手を)本当にやりたくなるなと元気をもらっているような部活。コロナ禍が明けたときに1、2年生が代表として(全国大会に)行ける日が必ず来る思っているのでそれをまた3年生の思いを背負って代表として頑張って欲しいと考えている」

自分たちの”消えた夏”を後輩たちに”伝える夏”へ競技への情熱のバトンを繋ぐ3年生の最後の夏が間もなく始まります。

男子キャプテンの山根くん、女子キャプテンの新屋さんはともに2年生だった去年地元沖縄でのインターハイに出場しました。

 その経験をバネに臨んだ今年はまさかの中止となりましたが元気いっぱいの前原空手を後輩に引き継ごうと前を向くその姿勢に心打たれる思いです。