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那覇空港をハブとした国際貨物事業がいよいよ始まります。事業のスタートはターミナルの供用開始の翌日の今月26日から。物流拠点としての利便性をどう沖縄経済の発展に活かすか香港でヒントを探ってきました。実近記者です。沖縄ハブ国際貨物事業とは那覇空港を拠点として、日本とアジアの8路線を結び、深夜に沖縄に貨物を運び行き、仕分けしたあと翌朝、再び各地に配送するという日本初の、本格的な貨物ハブ事業。ターゲットは急成長する中国など、アジアの物流です。

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香港九龍にある香港カシオ。中国本土に点在するカシオの工場を統括するヘッドクォーターです。現在、カシオでは、日本国内で製造された精密部品を香港を経由して、中国本土の工場に運び、そこで組み立てられた製品を日本や世界に供給しています。ここは、香港シャーティーンにある倉庫。香港を経由する部品や製品が、一時的に保管されています。

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記者「こちらは、中国国内の工場で組み立てられた液晶です。この製品はこのあと、航空貨物で日本へ送られます」

こうした、小さくて軽く、高価な精密機器が航空貨物の対象となります。今までこれらは、成田から空輸されていましたが、今月26日からは那覇空港を経由して運ばれることになります。

香港カシオ物流部 梁田 圭介 GM「我々メーカーの、これは本能だと思うんですが、自社の製品が世界一であると確信しています」「一刻でも早く作りたい、一刻でも早く一般ユーザーの方にお届けしたいというのはこれは史上の命題として」「(インパクトは大きいですか?)とてもあります。例えばですね。現状、成田を午前中に飛び立って夕方香港に着くということは、これは、我々にとっては丸一日無駄に時間を費やしていることになるんですね」「翌朝香港に届いていることは、これはとても大きなメリットになります。」

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香港は、多くの日系企業が物流の拠点としていて、近年の中国の経済成長で、物流量は確実に伸びています。

香港カシオ物流部 梁田 圭介 GM「(沖縄ハブは)点と点をつなぐ線の動きではなくて」「細かな線を東アジア一帯に配して、面として常にモノが動き続けるという形態であると理解しております。それは単純に日本からの部品輸入ということではなくて、製品供給に関しても非常に我々にとっても有効な手段であると考えています」

今後、物流の拠点となる沖縄では、こうした、メーカーを中心とした企業誘致の他、様々なビジネスの可能性が指摘されています。

香港カシオ物流部 梁田 圭介 GM「最新のものを沖縄の皆さんにまず手に取っていただく、東京や大阪よりも早く、ということにもなり得ますので、長期的に考えれば、たとえば香港がそうであるように、シンガポールがそうであるように、物流の拠点ということは文化的にも情報発信地になりうる」

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一方、県産品の販路拡大による、経済効果も指摘されています。香港九龍の工業ビルに到着したこちらの車。運び出されているのはゴーヤーなど、沖縄産の食材です。これは香港で沖縄料理店など7店舗を展開する、えんグループの倉庫。

こちらがきょう沖縄から届けられた食材の数々です。ゴーヤーに、ミーバイ、アカマチにビタローと新鮮なお魚も直送されてきました。えんグループでは、現在、沖縄の食材を週2回、直行便の航空貨物で運んでいます。香港中心部にある人気店「ちゅら」店の中では早速、沖縄と香港の料理人が運ばれてきたばかりの食材の仕込みに入ります。

一方、こちらは、香港島にある市場街。記者「こちらにあるのは香港の苦瓜です。沖縄のゴーヤーとはだいぶ形が異なります」

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味や食感も、沖縄産とはだいぶ異なるといいます。こうした食材の質の違いから、えんグループでは食材を沖縄から独自に輸送しているのです。香港では沖縄料理をはじめ、日本料理が高い人気となっていて、えんグループでも客のほぼ半分は地元客です。

日本料理の人気の裏には、味だけでなく、食材そのものに対する高い評価があります。香港にあるスーパー、こちらのトマト、中国産は4個でおよそ130円なのに対し日本産は2個で480円。1個あたりで比較すると、7倍以上の開きです。こちらの、ちょっと小ぶりな日本産ゴーヤーは1本370円。それでも日本の野菜は売れるといいます。

アジアで高い評価を受けている日本の食材。貨物ハブのスタートで、沖縄は、こうした食材をより早くアジア各地に輸送できる、日本で最も有利な拠点となるのです。実際、沖縄県では現在、物産公社を中心として県産品の販路拡大に向けた、体制の整備を進めています。

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ハブ空港で見えてくる、沖縄の様々な可能性。この可能性をどう活かすのか?事業スタートは間もなくです。すでに、今回の事業を巡っては、携帯電話の端末を取り扱うメーカーが県内への進出を検討しているなど企業の動きも活発になってきています。ほかにもいろいろな事業の可能性が見えてきますね。沖縄の地の利を生かした初めての大規模事業ですからうまく活用したいものです。