新型コロナの影響で生活に不安を抱えるのは大人たちだけではありません。学びや生活の危機に脅かされている県内の大学生の厳しい現状を取材しました。
沖縄県内学生への緊急支援を求める学生有志の会(5月18日)「私たち一人ひとりのここに集まった声に真摯に向き合って頂くと共に」「可及的速やかに具体的かつ効果的な手段による緊急支援と救済措置を求めます」
先月、県庁を訪れた大学生や高校生たち。新型コロナの影響で、生活や学業に不安を抱え、なんとか支援の手を差し伸べてほしいと急きょ有志の会を立ち上げ、学費の援助や学習環境の整備などを県に求めました。
新型コロナは、学生たちの生活を一変させました。
県内の大学に通う男性「3月から5月までがアルバイトの収入がゼロになってしまって。自分の研究室は県外の方に調査に行くことが多い。そのためにいままで貯金しておいたものを切り崩す感じ」
県内の大学院に通う女性「オンラインの遠隔授業になったりしたときに困って友達に相談したら友達のかかわりのある場所のWi-Fiを駐車場から車の中でつなげて使ってもいいと支援をもらって、それで遠隔授業を乗り切ったりしていたんですがなかなか厳しいものがあります」
県内の大学に通う男性「バイトができないのと、今年留学を考えていたが入国規制や渡航規制がかかっているのでそういう中で見通しがつかない不安がある」
学生有志の会が、SNSで募ったアンケートによると、新型コロナの影響でアルバイトの収入が「ゼロになった」と回答したのは38.4%。「減った」との回答と合わせておよそ7割が収入減に直面していました。
また、アンケートにはこんな声も寄せられました。「すでに車の保険料や携帯代が払えなくなった」「母子家庭のため生活費ギリギリで後期の学費が賄えなくて不安」
さらに、QABが県内7つの大学に取材した結果、新型コロナによる経済的理由から休学を届け出たケースが(6月2日時点)20件以上あることがわかりました。
社会福祉が専門で、県の子どもの貧困対策にも関わる沖縄大学の島村教授は学生たちの置かれた状況を次のように分析します。
沖縄大学・島村聡教授「もともと本学もそうだが沖縄県内の学生は(経済状況が)ギリギリで大学に来ている人が多い。しがみついた状態だったところにコロナが来たのでしがみつくものがなくなってしまったみたいな状況があると思います。余裕がない中でこういう形になった時に何が大切かというとまず”それでも大学にいていい”というサインを出してあげないといけないんです。でもそれをバックアップする制度がないと(大学側も)うかつに言いづらいと思うので国の助成の矛先はそっちに向いてもらわないといけない」
島村教授は、学費やIT環境の公的なサポートの必要性を訴える一方、コロナ禍で見えたもう一つの問題も指摘しています。
島村教授「あたり?大学に来たけど大学についていけないという今回遠隔授業になったことでこれがものすごくクリーンに出てきた遠隔は書けない、日本語処理の力が歴然と出てくるので自身がない子は持たないこれを欠席扱いにでもしようものなら単位失う学力格差が見えてきたので個別の支援を前提にした受け皿づくりもやっておかなければいけないとアフターコロナとして考えないといけないポイントです」
お金の問題だけでなく、学力格差もあぶりだしたコロナ禍。学生たちの未来を脅かしています。
大学院生「将来がどうなるのか、今は気持ちが落ち着かないのでいいわけかもしれませんが本業の学業にもあまり集中できなくて不安しかないです」
大学生「ネットなどを見ると学生というのは社会にいますぐに貢献する立場ではないので、そういう人たちが出しゃばって給付金をくれとか保証しろなどを言うのはどうだという声もあるが、この苦しい窮状をみんなに知ってもらって支援して頂ければと考えている」
現在、国は最大20万円の緊急給付金を創設し、各大学も独自の支援策を打ち出しているが、秋になると後期の学費納入も迫ってくるので厳しい状況は続く。
学生有志の会コメント「大人たちは選挙ムードだが、私たちがやっとの思いであげた声にも耳を傾けてほしい」