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新型コロナウイルスの感染対策に、県、国をあげて取り組もうというときに、また国が辺野古の工事を進めました。一体そこまでして進めるこの工事、どんなものなのか、改めて説明してください。

石橋記者「大浦湾に広がるおよそ66ヘクタールの軟弱地盤。国は海底に7万1000本の砂杭などを打ち込んで地盤を固めることにしています。」

ただ、軟弱地盤の改良は非常に難しい工事なんですよね?

石橋記者「いくつも問題を抱えています。まず1つ目は『軟弱地盤が水深90mにまで及んでいる』ということです。国内にある大型の作業船では水深70mまでしか工事ができません。しかし、国は、残りの20mの部分は水の圧力がかかって固くなっているので地盤を固める工事は必要ないという立場です」

石橋記者「しかし、私が地盤工学の専門家に国が言っている『固さ』を再現してもらいましたが、大人の力で簡単に崩れてしまう程度の固さでした。そのため、70m以下の深さを高めなければ、地盤沈下を起こしたりその上に置かれる大型の護岸が崩落したりする危険性がわかっています。こうした疑問がきちんと議論されていないと埋め立てを強行したい国の姿勢に疑問を投げかける専門家もいます」

新潟大学(地質学)立石雅昭名誉教授「一方的にこれで大丈夫だというかたちで計画を変更するやり方は民主的なやり方とは決して言えないと思っています。大浦湾という世界にも認められている貴重な生態系、これの破壊だけが残ってしまう。これはしかも税金を使っての破壊だっていうことで、私はそのことに怒りを覚えているわけです。やはり科学的・技術的に、そして生態系を維持しながらどのようにやっていくかというところまで十分に議論されていないと思っている」

日本大学(地盤工学)鎌尾彰司准教授「地盤改良が届かない、不可能である場所ですので、おそらく専門の方でもわからない、やってみないとわからない。もう少し地盤調査をしっかりして、少しでもわからないところの地盤を明らかにして、性質とかもしっかり調べて工事に入っていただきたかったと思います。(技術検討会は)お墨付きを与えているんじゃないかということもあったり、そういうこともふまえると(国の)シナリオ通りに事が進んでいるように思われます」

石橋記者「国は有識者会議で技術的な課題について議論を重ねていて、十分に検討できているとしていますが、話をしてくれた2人の専門家は辺野古を巡って県と国が対立している以上、県の意見にも耳を傾けるべきだと指摘しています」

しかし玉城知事は国の計画が1日も早い普天間基地の負担軽減にはつながらないと明言していますよね。

石橋記者「軟弱地盤の存在が判明したことで、地盤の改良工事を含めた埋め立てに9年半、基地を完成させてアメリカ側に引き渡すまでにはさらに3年ほどかかるため、普天間基地の返還は2030年代以降にずれ込む見通しです。また、総工費は当初3500億円でしたが、現在は9300億円と1兆円近くに膨れ上がっています。特に軟弱地盤の工事には3年半で1000億円かかると国は見込んでいます」

しかも玉城知事は認めないと言っているんですよね

石橋記者「玉城知事は辺野古の新基地建設を阻止する立ち場で、設計変更は認めない構えです。ただ、裁判などに持ち込まれた場合はこれまで同様、厳しい立場に置かれることも予想されます。どういった対抗措置を見出し、辺野古阻止を実現するのか新たな正念場と言えます」

解説 突然の設計変更申請