新型コロナウイルスの感染対策に人々が集中する中、辺野古を巡り大きな動きがありました。国は、辺野古埋め立て予定地にある軟弱地盤の改良工事に向けた設計変更申請を県に提出しました。
河野防衛大臣は「本日、沖縄防衛局から公有水面埋立法に基づき、公有水面埋め立て変更承認申請書を沖縄県に提出したとの報告を受けました」と話していました。
午前8時ごろ、名護市にある北部土木事務所に沖縄防衛局の職員4人が訪れ、設計変更申請書を提出しました。国が新基地建設に向けて埋め立てを強行する名護市大浦湾にはマヨネーズ状とも言われる軟弱地盤が広がっていて、工事を進めるには地盤改良工事が必要となります。しかしそれは国内では過去に経験がない難工事だと予想される上、新型コロナウイルスの影響で工事が止まり、抗議行動が自粛される中、手続きだけを進めるやり方に批判が高まっています。
謝花副知事は「報告を受けました。この件についてはこの後、三役で対処方針を考えます。コロナの時期だのにね」と話していました。
菅官房長官は会見で「申請書については、沖縄防衛局において、識者の助言等を得て十分な検討を行ってきたものであり、沖縄県においても適切にご対応いただけると、このように思っております。政府としては、引き続き、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力を尽くす考えであります」と話していました。
21日、県が緊急事態宣言を出し、コロナ対策に追われる中で提出された設計変更申請。玉城知事は設計変更を認めない構えで沖縄との溝をまた深めた形です。
玉城知事は「沖縄県では4月上旬から、日を追うごとに、倍へ倍へと感染が拡大しております。今は国においても、県においても、現地においてもコロナ対策に一丸となって取り組む時期であり、そのために私は工事を中止すべきと、県民の命を守るべきだとかねてから申し上げている通りです。国も県も事業者も含めて一丸となって対応にあたっている中、提出ありき、スケジュールありきで、変更承認申請が提出されたことは、現下の状況を全く理解しておらず、全く遺憾であり、断じて容認できないものだと断ぜざるを得ません。我々は県民のみなさんに、5分の1で行動を自粛してくださいとお願いもし、県庁の中でも職員の半数を在宅勤務に回すなど、現下のコロナウイルス対策に万全をもってあたりたいという状況。そのようなことも含めますと、明確に回答することは困難であろうと、今の段階で言わざるをえません。状況を全体的にみると、本当に政府が真に沖縄県民のために1日も早い危険性の除去を探ろうとしているのか、実現しようとしているのか、その姿勢については疑問を呈さざるを得ない。ですから、今は当分の間、現場での工事を中断して、コロナウイルスの感染が収束するまでは、まずコロナウイルス対策に国、県を挙げて対策に万全を期していこうということに主眼を置いて判断されるべきではないかと思う」と話していました。