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教師になるのを夢見て、沖縄の大学を卒業した女性が選んだ職業は「警察官」。なぜ女性は警察官という職業を選んだのか、そして女性には、もう一つ、すごい顔がありました。

池本さん「お疲れ様です。石嶺交番池本です。拾得物件の受理番号お願いします。」

那覇市にある石嶺交番で黙々と業務にあたる女性警察官。池本夢実(いけもと・ゆめみ)さんです。池本さんは今年2月、およそ8か月間の警察学校生活を終え、晴れて新人警察官として石嶺交番に配属されました。

池本さん「(Q.仕事は慣れましたか?)こっちの交番来て、あまりたってないんですけど、少しずつですね。毎日楽しんでます。」

池本さんの業務は、交番を訪れる人への対応や地域の安全パトロール。

池本さん「結構多くの人がこの辺歩くので、危ないところはないかとか、警察官見ると『うっ』と思う人もいるみたいなので、不審者に声掛けさせてもらったりしています。」

まだ一人ですべてをこなすことはできませんが、先輩に指導してもらいながら日々の業務をこなします。

先輩署員「事案に自分から飛び込んでいこうとする姿勢というか、非常に今どきの若い人にしては積極的だなと思います。」

静岡県出身の池本さん。元々は離島で働く教員を目指し、琉球大学に進学しました。しかし。

池本さん「学校に行くうちに、いろんな事情で学校に来られない子がいることを目の当たりにして、教えることよりも先に、そういった子が安心して学校に来れる環境を作る方が先かなと思って。」

将来は誰からも頼られる警察官になりたいと話す池本さん。そんな池本さんにはもう一つの顔がありました。池本さんのもう一つの顔、それはプロボクサー。

池本さん「もともと高校3年までは静岡の空手道部に所属していたが、小学生のときに北京オリンピックで村田選手が金メダル取ったのを見て、もともと格闘技に興味はあったんですけど、いつか自分もこのリングに立ちたいと思って、やるならてっぺん取りたいし、始めるなら今しかないと思ったので始めました。」

2016年プロデビュー、これまで8戦7勝1敗。現在IBF世界ランキング10位。WBA世界ランキング10位の世界ランカーです。

琉球ボクシングジム・仲井眞会長「ボクシングに対して純粋さがある。ずるがしこさがなくて指示通り一生懸命やる。女の子にしては珍しい。」

具志堅用高さんのトレーナーを務めたほか、平仲明信さんを世界チャンピオンへと育て上げた仲井眞会長のもと、力をつけてきた池本さん。

警察官とプロボクサー。二足の草鞋を履く彼女の練習は、仕事が終わってから2時間ほど。限られた時間の中で効率的に練習しなければなりません。

池本さん「もう一つ自分のやりたいことがボクシングというのがあるので、仕事もボクシングもどちらも楽しくてやっているので、こっちはこっちですごい楽しくて、自分にとってはすごくいい気分転換じゃないですけど、いい時間になっています。」

練習中も笑顔を絶やさない池本さん。夏には世界戦を控えていましたが、新型コロナウイルスの影響で白紙になりました。

池本さん「命あってこそボクシングができると思っているので、そういった意味では、コロナがどうとかは思わないが、この試合ができない期間をどう過ごすかでコロナが収まったとき、どういった結果がついてくるかというのは自分が一番よくわかっているので、今できることをやっていきたいなと思う。」

今できることをやる。次の試合がいつになるかわからない状況でも、変わらず練習をこなす池本さんの姿を初めて見た交番の先輩もこの表情。

池本さん「今この世界チャンピオンは自分だけの夢ではなくなっているので、支えてくれている人の存在ジムの会長、トレーナーをはじめマネージャー、職場の先輩方、自分を応援してくれる友達そういった方々の応援が自分を奮い立たせてくれるし、自分の力にもなっているなって思っています。」

警察官とプロボクサー。二足の草鞋を履く彼女の挑戦は始まったばかりです。