新型コロナの感染拡大を受け、世界中が様々な対策をしていますが、特に対応の早さが際立ったのは沖縄のすぐ近くにある台湾です。台湾ではどんな対策がとられているんでしょうか。現状を取材しました。
2350万人以上が暮らす台湾。感染者は59人。死亡者は1人にとどまっています(日本は15日現在、感染者計809人、死者24人)。
台湾政府は、武漢で発生した肺炎に早い時期から注目し、1月15日には感染者が1人も確認されていない中、「法定感染症」に定めました(日本は1月28日)。
1月20日には「中央伝染病指揮センター」を設置(日本の感染症対策本部1月30日)。2月6日にはクルーズ船の寄港禁止、そして中国全土からの入境を禁止しました。
街中でも政府の指示で様々な対策がとられています。台北駅の改札口では、通行人の体温をサーモグラフィーで確認。38度以上の熱があると通過できません。他の公共施設でも検温と消毒が義務づけられています。商業施設のエレベーター内にも消毒液が設置され、飲食店では入店時に検温と消毒を行っています。
また、台湾全土の小学校から大学まで、校門で検温が毎日実施されるなど、日々の生活の中で検温と消毒が徹底されています。
さらにSNSなどを活用して詳しい情報が発信されています。
こちらは、政府が人々の携帯電話へ配信した地図。台湾にも寄港したダイヤモンドプリンセス号の乗船者がいた可能性がある場所を示し、注意を促しています。また、台湾では週1回、薬局のみでマスクの購入が可能で大人は3枚、子どもは5枚と決められています。
そこで政府と民間企業が協力してアプリを開発。各薬局のマスクの在庫が一目で確認でき、別のアプリではネットからも購入できるようになりました。
こうした台湾の徹底した対応の背景には市民の対策意識の強さがありました。台湾の人々にとって忘れられないのは17年前に流行したSARS。多くの死者が出た過去を教訓に、政府も迅速な対応をとっているのです。
また、WHOに加盟していない台湾は、WHOの判断を待つよりも早く、独自の判断と経験を元に感染阻止に向けて取り組んでいます。感染症の専門家は、沖縄で新たな感染者が2週間以上確認されていないことを評価しながらも、特に病院での対策が重要だと話します。
高雄医学大学付属病院・感染内科主任 盧柏樑博士「(Q:今後どのような対応が必要?)私のアドバイスとしては、病院は市民にとって大変重要な場所です。もし、院内感染などが病院内で起これば、人々は政府に対する信頼もなくなります。台湾においては、17年前にサーズで大変苦しめられました。まずは、病院は感染者をうまく隔離して病院利用者の安全を守ることです。沖縄県は現在までの感染に関するデータや対策方法を旅行者に対して伝えることが必要です」
今週から多くの小中学校が授業を再開しましたが、今後も新型コロナウイルスへの警戒は続きます。