みなさんは「ラート」という体操競技をご存知でしょうか?競技人口は少なく有名とは言えませんがある動画が話題を呼んで注目を集めました。まずはそちらからどうぞ!
披露宴の舞台でおなじみの「かぎやで風」新郎新婦のこれからを祝福するおめでたい舞踊ですが踊り手が入っているのはラート。ステンレスや鉄でつくられた2つの輪をつなげた器具で演技するドイツ生まれの体操競技です。
まさかの無重力かぎやで風に会場は大いに盛り上がりました。沖縄らしさに斬新さを加えたこの動画はSNSや動画投稿サイトでも反響を呼んでいます。
踊り手を訪ねて向かったのは琉球大学の体育館。そこでは琉大体操部のメンバーが熱心にラートを練習する姿がありました。
県内では15人ほど、全国でも500人ほどという競技人口で指導者もいない中、琉大体操部では卒業生がコーチ役を務めています。その1人が上地陽史(うえち ようじ)さん。かぎやで風の踊り手です。
上地陽史さん「結婚式でかぎやで風をよく見ている時にこれはラートでできそうな気がすると思ってやった。ラートはふわふわした動きが魅力と思っている。いかに重力を感じさせないかをテーマにやっているところがある」
競技としてのラートは3種目あります。まずは直転(ちょくてん)直線的にラートを転がす中で演技を披露していきます。
つぎに「斜転(しゃてん)」ラートを傾けながらも体重移動でバランスを保ちながら倒れないようにしながらの演技を見せます。
最後は「跳躍」。ラートへ飛び乗って、ひねり技などを加えながら着地。他の体操競技と同じく技の数や難易度、そして美しさを得点にして順位を競います。
1月全国大会「直転」6位 山口章太さん(琉大4年)「躍動感があってかっこいいと思って。新入生のサークル紹介の時にやっているところを見ていいなと思って入った」
永井咲希さん(琉大大学院2年「今、部活が続いているのも陽史さんが練習を見てくれるおかげとても頼りになる先輩」
30年ほど前、日本にラートを紹介した人たちの中に当時琉大の教授がいたことがきっかけで部活動がスタート。野球少年だった上地さんも大学に入った時に競技を知り面白そうだと始めて12年が経ちました。
上地陽史さん「ラートはルールや使い方が独特なので誰かが引き継いで教えていかないと途切れてしまう部分がある。楽しくやってくれたら一番いい」
Q.何か研究している?
上地陽史さん「いや今思いついた」
競技者として汗をかいてきた上地さんですが元々人を楽しませることが好きな性格。ラートへの関わり方に変化が生まれています。
上地陽史さん「笑いが取れたら一番うれしいなと思って上手いとかより正直面白かったと言われる方がいい」
選手としては出られなかった世界大会。ですが去年秋田で行われた世界大会に推薦され試合の合間にパフォーマーとして演技を披露することができました。
上地陽史さん「見ている方もすごい楽しんでもらっていたので、僕にとってはかなり大きな出来事」
建物の内装の仕事の傍らラートの個人練習も続ける上地さん今はどうすれば人を楽しませる演技を生み出せるのかと頭も体もひねり続けています。
上地陽史さん「結婚式やイベントでもやってくれないかという声が上がっているのでどんどん披露していきたい。また新しい演技もつくっていきたいということを目標にしている」
真剣にそして面白くラートの魅力を広げる上地さんのチャレンジが始まっています。