がんじゅうへの扉です。50年前まで、日本の死亡原因の第1位をしめ年間10数万人が命を落とし、国民病とまでいわれ恐れられていた「結核」。現在では患者数も減り、過去の病気と認識している方もいらっしゃるかと思いますが、まだまだ注意が必要な病気なんです。きょうは結核の現状と正しい知識をお伝えします。
このところ、咳が続いている。タンもでるし、なんだかだるい。風邪が長引いているのだろうか?その症状、もしかしたら結核かもしれません。結核は過去の病気ではないのです。
崎山所長「いま日本全体で結核の新発生、というか新患者が年間2万5000人発生、沖縄でも毎年250から300人の患者の発生があります。決して少ない病気ではありません」
(結核菌)風邪によく似た症状を起こす結核。主に肺に炎症を起こします。明治から1950年代まで、年間10万〜数万人が死亡する病気として恐れられてきました。
しかし戦後は栄養状態の向上、特効薬の開発やツベルクリン検査・BCG接種の普及などにより結核の発症や死亡者の数はみるみる減少します。県内でも結核患者は多く、治療のため県外に患者を送るほどで1960年代後半、療養所の結核病床は460もありました。1967年からBCG接種が始まるなど数々の対策がとられその後患者数は激減しました。
しかし、完全になくなったわけではなく、今でも新しい結核患者が発生しています。去年、あらたに結核と診断された患者は全国で2万4760人。結核で死亡した人は2200人以上にも上ります。県内でも277人の結核患者が発生し、22人が死亡。
なぜ、結核は発生し続けるのでしょうか。患者数がだいぶ減ったため患者も医師も油断しがちになり受診や診断が遅れることが原因の一つ。つまり、結核を見逃してしまうのです。
崎山所長「もうひとつ、70代以上のお年寄りが結核を発病するケースが近年の特徴です。」「過去の、結核が蔓延していた時代に感染していた人が何らかの形で体力や免疫、抵抗力が落ちたりで発病するパターンが多くて、日本・沖縄でも」「高齢者の患者が多いという特徴があります」
そう、結核は感染しても必ず発病するわけではありません。結核菌に冒された患者は、菌により肺に空洞ができそこが結核菌の温床になっています。この菌が、咳やくしゃみによって飛沫とともに撒き散らされ、まわりの人がこの飛沫や浮遊する菌を吸い込んでしまいます。鼻やのどで消えてしまえば感染しませんが、肺に到達すると感染する確率が非常に高くなります。
しかし感染しても、免疫や抵抗力で結核菌の増殖を抑えるため発病しないケースも多いのです。なにより怖いのは、自分が結核だと気付かずに周りの人々にうつしてしまうことなのです。早期発見にきわめて有効なレントゲン撮影。肺の炎症や空洞など、結核の症状を発見できます。
崎山所長「これは、そうとう病状の進んだ結核患者のレントゲン画像。白く見えるのは炎症、そしてこの部分は大きな空洞になっていて、大量の結核菌が排出されていました。」
しかし、結核は完治する病気です。現在は効果的な薬がありますので、一般的には4種類の薬を6か月間服用することで治ります。しかし、この服用の方法をきちんと守らずに治療途中でやめてしまうと、治らないどころか、結核菌は薬が効かない「耐性菌」に変化することもあるので医療機関では患者にチェックノートを配布するなどして服薬を支援しています。
自覚症状があれば必ず病院へ。そして大切なのはうつさない配慮です。
崎山所長「せきエチケットですね。症状がある時はマスクをする。新型インフルもそうですが咳がある場合にはしっかりマスクをして周りの人にうつさないというのも大切です」
見過ごされがちな結核、早期発見・早期治療のために思い当たる症状があるときは早めに診察をうけてください。2週間以上つづく咳、微熱やたんがあれば、要注意です。薬で治すことのできる病気ではありますが、大事なのは人にうつさないこと。せきエチケット、心がけましょう。がんじゅうへの扉でした。