骨の病気のため、身長は120センチのハンドボールの監督。男性の姿と行動が今、周囲に力を与えています。そしてそこには、家族の存在がありました。
浦添市の当山小学校ハンドボール部。去年10月の県大会では女子ベスト8、男子は九州大会出場まであと1勝のベスト4でした。
さらなる飛躍を目指すチームを率いるのは、高良翔大さん。1歳のころ、骨格の成長に異常が現れる軟骨異形成不全症と診断され、30歳の今、身長は120センチ。体力や体格でハンディキャップはありましたが、小学校から高校までハンドボール部で活躍。現在は県職員の傍ら母校・当山小で監督を務めています。
練習からきびきびとしたプレーを求める高良さん。子どもたちにハッパをかけていきます。
高良翔大さん「僕自身は障害を持っていても、いろいろなことが出来るということを伝えられたらいいかなと思って。全力でやったことを試合の場で発表するということを心掛けてやるようにしようと言っている」
子どもたちとのコミュニケーションにも心を砕く高良さん。ハンドボールを好きでいて欲しいという気持ちとともに、強い思いがあります。
高良さん「ハンドボールだけではなくてチームメイトとの交流だったり、生活習慣の改善だったりとか。立派な1人の大人として育つように巣立ちできるようになってくれたらと思う」
骨の病気で身長120センチ。小さな体をめいいっぱい使って子どもたちを指導する高良さんはハンドボールの盛んな浦添で育ちました。両親、そして2人の姉もみなハンドボール選手です。自身も全国大会に出場できるチームで腕を磨き、小中と学年が進むにつれ試合に出られる機会は少なくなりましたが、学校の仲間や家族に励まされ、助けられた思いが原点にあります。
そんな高良さんが手本にしている指導者がいます。父・政幸さんです。教員だった正幸さんは、小中学生のハンドボールを指導。多くの選手を育て、去年からは社会人の女子ハンドボール、ザ・テラスホテルズ監督を務めています。チームは国内最高峰・日本リーグ参入を目指して県内外の大会に出場しています。
高良さん「父はハンドボール界ではすごい人なので、自分が目標にする部分もあったり」
息子の体を気遣いながらも、政幸さんは息子の挑戦する姿をうれしく思っています。
父・政幸さん「本人がまず一番頑張っていることが私たち(家族の)励みにもなる。(指導する)子どもたちが育っていくというか上手くなっていく。本人も一番周りの友達に助けられてきたので、その輪をつくるという面ではものすごく勉強になった。ハンドボールに取り組むとか続ける要因にはなったと思う」
高良さん「教え子を全国や九州大会に連れて行きたいと思っているので、激戦区の沖縄を勝ち抜いて、1回は教え子を外の世界を見せてあげたいというか、そこを目標に最終的に出来ればいいかと思っている」
ハンドボールが広げてくれた自らの可能性を胸に、高良さんはきょうも子どもたちとコートで汗を流します。