石垣市議会で、「市政の最高規範」として定められている市の条例に対し、委員会が「廃止すべき」という結論に至ったと報告しました。
市民の権利やまちづくりの基本理念などを定めた市の条例に今、何が起きているのでしょうか。おととい始まった、石垣市議会12月定例会。市民が注目するなか、あることが報告されました。それは…。
友寄議員「委員の指摘や意見を集約し採決した結果、賛成多数により本条例を廃止すべきものと決定いたしました」
「廃止すべき」と報告されたのは「石垣市自治基本条例」。市民の権利や市議会・市長の責務、市政運営の原則などを定めたもので、2009年に制定されました。条例はその位置づけについて、「市政運営の最高規範」とうたっています。
ところが議会では、この条例の「理念や在り方に不備や解釈の違いがみられる」として、ことし3月、与党議員の発議で条例に関する調査特別委員会を設置。設置に反対した野党議員は、委員には含まれていません。
どうして条例を「廃止すべき」という結論に至ったのでしょうか。
友寄議員「本条例の前提となる「市民」の定義の幅広さ、住民登録をしていない外国人や観光客、反社会的な個人、団体まで市民になりえることについて疑義が集中したほか、この条例は理念条例と言われ多くの条文が努力目標で拘束力がないこと」
このほか、多くの自治体が条例はなくても地方自治法で運用されていることや、時代にあった新しい条例を策定すべきなどの意見が報告されましたが、これに対し、野党議員が反発。
宮良議員「まず前津議員が行ったように廃止する根拠が薄弱すぎる。調査研究の目的でされたのがいきなり結論が出てきた会議の議事録を見ていると…1回目が45分‥5回、合計約5時間で結論を出すのは拙速すぎませんかという」
友寄議員「時間をかけてやらなければいけないというものではなく、5回しっかり話し合った結果」
宮良議員「自治基本条例がなければ市の条例が通らないことがたくさんあるその関連まで議論がなされたのか」
友寄議員「細かい影響は全くやっておりませんが、なくてもやっていけるという」
傍聴する市民「議会というのはこの程度のものですか。おかしいよ」「市民は何にも知らないよ!」
取材にあたった比嘉記者です。市民が思わず声を上げるのもうなずけますね。
比嘉記者「はい。委員会ではいくつか「廃止」に至った理由をあげていますが、行政法の専門家は、時代の変化に応じて解釈の違いが出てくるのは当然で、それを明らかにしてどう解釈するか議論すべきと指摘した上で次のように話しています」
仲地博先生「自治基本条例は今の日本で自治の到達水準を示すものです。議会の役割、行政運営の在り方、総合計画をどうするかなど、各自治体が苦労してここまでは獲得したという水準を示すもの。その水準を維持できるのかさらに充実発展させるのか、あるいは後退させるのかというのが問われている」
ここからは福元さんにも入っていただきます。福元さんは、この条例が制定される頃にちょうど、八重山支局長だったそうですね。
福元さん「当時は八重山支局長で、前市長が条例の制定を宣言して制定されるまでの2年半みていたが幅広い見地から丁寧に議論されつくられた印象。それをたった5回の委員会で「廃止」と結論づけること。自分たちの島のことは自分たちで決めるという自治の意識」
また、この自治基本条例の動きに関連して注目すべきことがあるんですよね。
福元さん「石垣市では今、この条例を根拠に、陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の実施を求めて住民たちが市を相手に裁判を起こしています。住民自治基本条例の27条には、「有権者の4分の1の署名をもって市長に対し住民投票の実施を請求することができる」市長はこの請求があった時は所定の手続きを経て住民投票を実施しなければいけない」といったことがかかれているんです」
比嘉記者「住民投票を求める会は取材に対し「今回のタイミング、また委員会の目的から逸脱した決議から、住民投票に反対する市議による政治的な圧力だと感じざるを得ません。大変残念に思います。」とコメントしています」
会期は16日までです。会期中に、どこまで議論が本格化するのか注目されます。