こちら。和名シーラ、マンビカーの名前で知られる魚ですが、本島北部、国頭村宜名真漁港では、幸福を呼ぶ魚、「フーヌイユ」とも呼ばれ、漁村を潤す魚でした。その魚の名前ついたお祭りが6年前に復活、そこには、小さな漁村で暮らす人々の熱い思いがありました。
11月24日、日曜日。国頭村にある宜名真漁港は子どもから大人までたくさんの人で賑わいました。そのわけは?
「美味しいです。ふーぬいゆのそばです。」「何かちがうのか?魚の味がします。出汁が魚の味がします。」「Qこれはなんの魚?A今売ってますでしょ。方言で「まんびかー」っていうんですって。美味しいです。」
この日行われていたのは、今年で6回目を迎える「ふーぬいゆ祭り」毎年この小さな漁港に1500人ほどが訪れるといいます。
「ふーぬいゆ」とは「シイラ」のことで、富の魚と書くことから縁起の良い魚・幸運の魚とされていて、「マンビカー」という別の方言でも親しまれています。
山入端さん「ふーぬいゆと言ったら、あんた運があるよと昔からの方言で「やーふーあいてーさ、あんた運が強かったね、運があったな」という言葉。福を運んでくれる(という意味)」
祭りを主催した国頭村宜名真地区の区長、山入端立全(やまのは・りつぜん)さんです。Qふーぬいゆ祭りとは?山入端さん「ふーぬいゆ祭りは部落活性化ということでスタートさせていただきました。」
漁業や農業が盛んだった国頭村でしたが、年々過疎化が進み、宜名真地区も人口は減少の一途を辿っています。そんな地域を元気にしたい!村の内外からも大勢の人に来てほしと祭りを始めました。
山入端さん「全国回ってもこういう祭りはないんじゃないかと思います。1カ月半前からこの商品づくりに入らないといけませんので、ほんとにマラソン祭りなんですね。」
山入端さんたちの思いのこもったフーヌイユ祭り。この後いよいよ本番を迎えます。
祭りに向けた準備が始まった先月。この日、宜名真の漁師たちは、シーラの大漁を祈願しパヤ・浮き漁礁を投げ入れる恒例の儀式を行いました。これは漁師が投げ入れたパヤのロープや発泡スチロールに小魚が集まり、その小魚めがけてやってくるシイラを釣るという仕組みです。
漁師「あれはね、300年の伝統の宜名真の釣り方。毎年している。」「9月から12月まで、3カ月間で1000キロくらい(釣れる)。」
後日、漁港に来てみるとたくさんのシイラが釣れていました。
漁師「この漁は上手とか下手とかないから。言われている通り大漁だったり、0だったり。」Qやはりふーがないと釣れないのがふーぬいゆですか?「A俺がこれだけ釣っても他の人間が0だってある。」
そして釣ったシイラをさばき4日間天日干しにするという工程を繰り返し、1か月後に迫る祭りに備えます。迎えた祭り当日。
山入端さん「きのうまでは土砂降りで、どうしよう舞台にテントはるかという実行委員集まっての話もありましたが」「きょうは最高の天気に恵まれました」「これもまたふー(運)があるんじゃないかと思っています。ありがとうございます。」「3,2,1、スタートです!」
祭り開始の合図と同時に始まったふーぬいゆの販売会には、福を求め朝から長い列ができていました。
男性「去年も来たんですけど買えなくて、今年こそはと思って早めに来ました。」男性「東京からです。毎年これを楽しみに来ています。」
中には両手がふさがるほど買う人も。地元の方「本当にもう好きだから友達にもあげようと」Qどう調理しますか?「塩抜きしないと食べれないけれど、だいたい3時間ぐらい水につけるとちょっとふやけてくるのでその時に湯がいたら脂がのって相当美味しいです。」
また、漁師全面協力のもと遊覧船に乗り、宜名真の海を楽しむイベントも用意されていました。
山入端さん「私が那覇にいたときには宜名真という名前を出しても宜名真ってどこにあるんですか?という地名すらほとんど覚えられてなかったがふーぬいゆ祭りをしたおかげで沖縄全島」「宜名真、ふーぬいゆ祭りという名前を皆さんに知ってもらった。」
ふーぬいゆにあやかろうと多くの人が宜名真を訪れる。宜名真のシンボル「ふーぬいゆ」は小さな村に文字どおり富・ふーを運んでくれました。