玉城知事の就任からまもなく1年になります。基地問題などに奔走しながら独自デニーカラーも出してきた玉城県政の1年を振り返ります。
翁長雄志前知事の死去にともなって実施された県知事選で8万票あまりの大差をつけ、当選した玉城知事。
玉城知事就任会見「自立型経済の確立、沖縄らしい優しい社会を構築するため、何よりも沖縄が平和で安心・安全に暮らせる社会を実現することが求められます。そのためには、沖縄の米軍基地の整理縮小が急務であり、ましてや新たな米軍基地の建設は到底容認できるものではありません」
翁長前知事が就任後およそ4カ月かかった安倍総理との初めての面談は、就任わずか8日という異例の速さで実現。対話による問題解決を呼びかけました。
さらに就任後2カ月で訪米。これも歴代知事よりも早い行動でした。
歴代の知事と違い、ホワイトハウスなどの政府機関が集まるワシントンDCを中心の要請活動だけでなく、ニューヨークを訪れ、一般市民へ講演アメリカの世論への働きかけも行いました。
しかし、12月。基地問題は大きな局面を迎えます。
沼尻キャスター「今トラックから土砂が落とされました、辺野古の海に土砂が落とされています。多くの県民の反対の声をよそに、何のためらいもなく土砂が落とされています。辺野古新基地建設に向けた埋め立て工事が始まりました」
玉城知事の当選から2カ月半。政府は辺野古への土砂投入を強行したのです。
玉城知事「国がこのような県の要求を一顧だにすることなく土砂投入を強行したことに対し、激しい憤りを禁じえません」「県民の怒りはますます燃え上がるということを認識するべきです」
強行される辺野古。そんな中で行われたのが辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票でした。
玉城知事「県民の皆様ご自身の意思を直接問うことができる大変貴重な機会です。県民の皆様にはぜひ投票所に足を運んでいただき、貴重な一票を投じていただくようよろしくお願い申し上げます」
一時は実施も危ぶまれた県民投票でしたが、有効投票数の7割を超える43万人あまりが辺野古の埋め立てに反対の意思を示しました。
反対の民意は、その後の国政選挙の結果にも大きく影響。4月の衆院3区補選、7月の参院選と、辺野古反対を訴えたオール沖縄勢力が勝利。世論の追い風を受ける中、玉城知事は辺野古ノーの民意を県外に向け発信していきます。
玉城知事「同じ国民としてなぜ沖縄にいつまでもこれだけの基地をということを自分事として捉えていただいて、では自分たちがなにができるだろうかということをぜひ皆さんで話し合っていただき、みんなで力を合わせて、それぞれができることをぜひ沖縄県と協力してやっていただきたい」
今年6月の東京での開催を機に、沖縄の基地問題や地位協定の問題を訴える全国キャラバンをスタート。今後は、札幌や福岡でも開催される予定です。
7月には、新潟県で開催された国内最大級の音楽イベント、フジロックでは元ロックバンドの経歴を持つ玉城知事のデニーカラーで、来場者に問題提起しました。
そして最もデニーカラーが出ているものが万国津梁会議。基地問題をはじめ、子どもの貧困対策など5つのテーマを設け、そのテーマごとに山積する問題に対し、有識者などから意見を聞き、県政運営に反映させていこうというものです。
様々な問題に奔走されながらも独自の色も出してきた玉城県政の1年。知事はすべての仕事に着手していると自信をみせましたが、辺野古新基地での強行は止められてはおらず、さらに3年後に期限切れとなる沖縄振興計画や子どもを取り巻く環境など多くの問題は残ったままです。