アメリカ軍に民間の港湾を使用させることに抗議の声が上がっています。アメリカ海兵隊はきょう、本部町の浜崎漁港に入港しようとしましたが、反対する人たちに阻止されました。
本部町にある浜崎漁港。朝早くからボートを積んだアメリカ海兵隊のトラックの入港を阻止しようと、港湾労働者や市民たちが集まりました。
県によりますとアメリカ海兵隊は今月10日、本部港管理組合に対し、訓練のため港を使用すると通告していました。現場は伊江島の対岸。アメリカ軍は県に対し「伊江島での海兵隊のパラシュート降下訓練を支援するため、支援船艇を送る」と伝えています。そもそも、アメリカ軍による民間港湾使用は何を意味するのか、専門家は…。
沖縄国際大学・前泊博盛教授「提供施設についてはアメリカ側が使用することはできるんですが、必要に応じて『緊急時には他の施設、国内の空港や港が使用できる』という風に日米合同委員会の合意で認められている。ただこれも『緊急時』ですから通常の演習訓練が果たしてこれにあたるのかどうか。『緊急時』には使用できるということを盾に、緊急でないときにも使っていることになる。全土基地方式と言われていますがこういう形がそもそもおかしい。(Q:日本側に訓練を止める権利はありますか?)あります。施設区域の提供にあたっては1件ずつ交渉した上で、日本側が検証したうえで必要であればどうするかを判断することができる。これは提供は義務ではなく、権利も主張できることがいわれている。そういう意味では日本側が権利を主張していない」
一方、現場には大勢の機動隊も。道路で、または港湾施設で抗議の声をあげる人々とにらみ合いになっていました。
前泊教授は、今回訓練が行われれば、今後、米軍に恒常的に訓練を認めることになると指摘します。
前泊教授「もうすでに与那国、石垣港もアメリカ軍が駆逐艦などの軍艦の艦船を送ることによって既成事実を作っている。『日本人は既成事実に弱い』ということがアメリカのリポートの中にあります。一度やってしまえばそのあと使えるようになると、規制事実化をすすめられているんです。『那覇港湾も中城港湾も』と県内にあるあらゆる県内にある港湾すべてを使えるということになれば大変な問題になります」
現場はこちら、伊江島の真向かいにある本部町の浜崎漁港です。アメリカ軍がここから運び出そうとしていたのはこちらのボートです。
伊江島沖で、アメリカ軍はパラシュート降下訓練を行い、下りてきた兵士をこのボートに乗せるのではないかと見られていました。
そしてこちらが2000年ごろに伊江島沿岸部で実施されたパラシュート降下訓練です。本部町の港を使わせてしまえば、このような訓練が常態化するのではないかと島民たちは心配しています。
アメリカ軍は、県に21日にも港を使いたいと通告していて、また混乱が起こると予想されます。