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歴史が大きく動きました。16日午後、国会で首相指名投票が行われ、民主党の鳩山代表が第93代内閣総理大臣に指名されました。これによって長年続いた自民党政権に代わり、民主、社民、国民新党の連立政権が発足しました。

国会は16日、午前8時の開門と同時に衆議院選挙で当選した議員が続々と初登院し、国政の場で活躍する決意と責任の重さをかみ締めていました。このうち沖縄からの5人の衆院議員も初登院し、緊張の中にも晴れやかな表情で議員バッヂをつけ、決意を新たにしていました。

民主党瑞慶覧長敏議員「相当な責任を負っていますので、だからその責任感、非常に重みを感じますね」民主党玉城デニー議員「国民や県民の皆さんは、もうとにかく今の政治を早く変えてほしいという思いで今回の政権交代を実現させていただいたと思うんですよ。そのことを考えると出来ることはスピーディーに進めたい」

国民新党下地幹郎議員「いつでも緊張しますね。選挙に勝ったんだなという思いと、やらなければいけないという思いが交差しますから、その思いをしっかり大事にしながら頑張っていきたい」

社民党照屋寛徳議員「大変に重たいな。そして使命感を何としても達成していきたい」共産党赤嶺政賢議員「雇用や社会保障の充実にも取り組んでいきたい。ある意味、今までとはまったく違う新しい決意に燃えています」

衆議院で沖縄からの自民党議員が一人もおらず、政権が代わったことを印象付けました。衆院議員の5人は参議院の4人の沖縄出身議員とともに国政の場で沖縄問題の解決に取り組みます。

新政権に県民は

鳩山新政権が誕生したことについて16日、那覇市、宜野湾市、名護市で県民に聞きました。

【那覇市】女性「自民・公明でしょう、今までが。あんまり良くなかったでしょう。それがちょっと良くなるといいなと思って」男性「政権が代わってもあんまり変わらないんじゃないかと思っていますけどね。マニュフェスト自体もどうかと思っていますし」女性「みんなの生活水準が安定してくれればいいかなと」女性「いろんな意味で福祉かな。充実させてほしいですね、もっと」

【宜野湾市】女性「やっぱり危険ですからね。早く、一日も早く普天間基地を撤去してほしいです、県外に」男性「福祉関係ですね。医療関係、あるいは雇用問題ですね。その辺をしっかりしてほしい」

【名護市】女性「産婦人科とかが少なくなっているんで、そこを頑張ってほしいと思います」男性「今、普天間が辺野古に、ということがありますよね、それをどうするかということを先にやってほしい」

【名護市辺野古】男性「まだまだ分からないですよ。政権が代わっても2、3か月経たないと分からないと思うんですが」ヘリ基地反対協議会・安次富浩共同代表「普天間に関連する予算が執行されて、基地内で兵舎建設が着々と進行している。手続きの中止と、予算の凍結を求める」

気者解説

子育てや基地問題など、民主党の政策に期待している県民も多いようですが、一番大切なのは、やはりその政策を実現する力があるかどうかで、そこに疑問を抱いている県民も多いようですね。

そうなんですね。民主党が今回の選挙で大勝した要因は民主党のこれまでの実績が評価された訳では無くて国民が、自民党・自公政権に退場を突きつけたことが最大の理由ですから、県民の疑いの声があるのも当然だと思います。

県議会は去年、普天間基地の辺野古への移設に反対する決議を可決していますが、同じく普天間の県外移設を掲げる鳩山政権の誕生が、県政や県議会に与える影響はどうでしょうか?

県議会野党は、鳩山政権と連携して、基地建設を食い止めたいと勢いづいていますが、自民・公明はあくまで仲井真県政を支える。つまり知事のこれまでの方針通り、県内移設を主張するようです。

各政党の代表に話を聞いてきました。

民主党県連 新垣安弘幹事長「普天間の問題に関しては、これから県政与党の県議会議員も県知事も出来れば一緒に歩調を合わせて県民の声を一つにしていかなくてはならない。当面の(来年1月の)名護市長選挙に関しては、辺野古に基地を造らせないという意思を持つ方を名護市長に選んでいかないといけないと思います」

社民党県連 新里米吉 書記長「やや十分な合意形成でない、安全保障の問題についても政権内においても社民党が政権に実現させていく努力が必要ですし」「沖縄からそういった問題を実現(解決)していくためには各党がバラバラではなくて、みんなが一緒になって実現を迫っていくということが対米交渉における大きな力になると思う」

自民党県連 翁長政俊 幹事長「県政においては、仲井真知事を支え、少数とはいえ与党で頑張っているので、県議会の中では仲井真さんを一生懸命盛り立てながら県政発展のために頑張っていきたい」「(自民党県連の)スタンスは全く変わることはない。普天間の移設については、国が進めている事業でありまして、これは沖縄県の中で、県内移設でやるということだ」

公明党県本部 糸洲朝則代表「うちとしては、(衆議院選挙・比例区)で県内で12万95票を頂いたんですから、自民党との選挙協力も一定の成果を得たと思うし十分に私どもの主張は県民にそれなりに評価してもらった」「自公連携のスタンスは(公明党県本部としては)今後も変わらないと認識している」

社大党・結の会 大城一馬会派代表「普天間の県外移設というのは、(民主党に)是非しっかりやって頂きたいと、やってくれると私どもは思っている」「まとめ役として、社大・結には大きな期待がかかっていてやるべきだと思っている」

共産党県議団 嘉陽宗儀 県議団長「国民の願いは、民主党の政権公約を支持して民主党政権が誕生したのではなく、自民・公明の長年の政治に対する国民の反発がある。」「民主党政権の中でも、共産党は建設的野党として良いものは良い。悪いものは駄目だと。これはストップさせるという立場で県議会でも役割を果たしたい」

また、仲井真知事も夕方に記者団のぶら下がりに応じてこう述べています。

仲井真知事「ベストの選択は県外であるとは思うけれども,現実的には県内移設もやむなしというスタンスできている」「まるごとやむなしではなく、(移設の)条件として、色々つけている」

政府と県議会の多数派は同じ意見で、仲井真知事だけが辺野古への基地建設にこだわっているという状況のようですが、今後はどんな流れが予想されるんでしょうか?

こちらのフリップで政府と県の今後の大まかな日程をまとめてありますが、鳩山総理は今月23日にニューヨークでアメリカのオバマ大統領と会談する方向で調整しています。ここではまず、アメリカとの信頼関係を築くことが狙いですから直接、普天間の問題に触れる可能性は小さいと思われます。

そして来月には、仲井真知事が、辺野古への基地建設計画に意見を述べる機会がありますが、これは環境調査の方法がテーマですから、知事は、「環境に最大限配慮するように」と主張するだけで、ここでは県内・県外どうするという話にはなりません。

このあたりまでは、流れに急激な変化は出てこないと。

そうですね。でも、ここからが最も重要で、11月にはオバマ大統領が来日しますここで、鳩山総理も、自民党とは違うというところを見せなくてはなりませんから、普天間の問題についても突っ込んだ話をしなくてはならないと。また、そうしないと県民は今回の選挙で、県内移設に反対する4人の議員を選挙区で選んだ訳ですから納得できません。

民主党の玉城デニー議員や国民新党の下地幹男議員は今後の予算編成で、辺野古移設の予算を止めると明言しています。

玉城デニー議員「来年から辺野古の海の埋め立てが始まるということも予算の執行停止を含めていろんな手立てを考えることが出来るから同じ政権の中の私の声ですので、無視はさせない」

下地幹郎議員「普天間移設の予算を組んだ後にもう一回やり直すというのは良くない」「まず、予算を組まないことを決めて次のステップを考えることが大事」

予算が下りなければ、どんな事業もできませんから、これは非常に大きなインパクトを持ちます。そして、来年は選挙イヤーで1月に名護市長選、7月に参院選、そして11月に知事選がありますから、この3つの選挙の結果も、沖縄の基地政策に非常に大きな影響を与えますね。

県民は来年、民主党政権に対する初めての審判と基地問題についての地元の判断を再び迫られる訳ですね。岸本記者でした。