中村キャスター「4日の沖縄タイムスの朝刊です。阿部さん、東京の自衛隊基地に行ってきたんですね?」
沖縄タイムス編集委員 阿部岳さん「はい、8月下旬、東京近郊の2つの自衛隊基地に出掛けていって、上空でドローンを飛ばしてみました。」
金城キャスター「警察官とか、迷彩服の方、自衛隊の方ですかね?たくさんの人に取り囲まれていて、何だか、物々しいですね」
中村キャスター「どうしてこんなことに挑戦されたんですか?」
沖縄タイムス編集委員 阿部岳さん「改正ドローン規制法が、6月に施行されたんです。これは政府が指定した基地で、上空の飛行が原則禁止になるというものです。アメリカ軍基地も対象ですが、第1弾として本土の自衛隊基地など13施設が指定されています。今回は、今後沖縄のアメリカ軍基地が指定された場合に備えて運用の実態を確かめておこうと考えて企画しました」
金城キャスター「運用の実態を確かめる・・・。それにしても、結構大変だったんじゃないですか?」
沖縄タイムス編集委員 阿部岳さん「はい。手続きとしては、飛行の10営業日前までに基地司令に同意を申請して、その後、48時間前までに地元の警察に通報するとういものなんですが、その過程で、色々な壁にぶつかりました。自衛隊は最初、「弾薬庫やミサイル部隊は秘密保全上、撮影禁止」と言ってきました」
中村キャスター「ドローン規制法って、そもそも秘密を保全するためのものなんですね?」
沖縄タイムス編集委員 阿部岳さん「いいえ。規制法はテロ防止が目的なので、本来は秘密を理由に制限することはできません。こちらがそう指摘すると、今度は、墜落の危険を挙げて飛行エリアを制限されました。また、条件として、撮った写真を自衛官が確認して、場合によっては削除する、ということも提案されたんです」
金城キャスター「検閲をするということですか?」
沖縄タイムス編集委員 阿部岳さん「そうですよね。私たちも、これは検閲で、報道の自由を守るために受け入れられないと反論して、撤回してもらいました」
金城キャスター「そんな苦労の末に撮影したのが、こちらの写真ですね。東京の自衛隊基地まで行って、沖縄の新聞社がドローンを飛ばすという試み、大変だったと思いますが、やってみてどんなことを考えましたか?」
沖縄タイムス編集委員 阿部岳さん「はい。今後はドローン規制法の対象にアメリカ軍基地が指定されることになります。辺野古新基地建設が進むキャンプ・シュワブも有力候補とみられます。つまり、私たちが取材することが難しくなるということなんですね。軍隊が私たちの隣で何をしているかを知る権利は、民主主義と安全な暮らしを守るために欠かせません。私たちは、アメリカ軍基地が指定されたら同じように手続きをして、今回のように取材をし続けたいと考えています。知る権利は日々使って、干渉を押し返していくことで、守れるものだと思っています」