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今県内で、ある喫茶店が話題となっているのをご存じでしょうか?その名も「注文を“まちがえる”ゆいまーるな喫茶店」笑顔が絶えない特別な1日を取材しました。

先月、うるま市の喫茶店にできた行列。

男性客「性なんか聞いたこともあったので、ぜひ来てみたいと思って来ました」

女性客「色んな人が働けるって、すごくいいことだなと思った」

その頃、店内は。開店を前にあわただしい様子。ここは、認知症の人たちが働く喫茶店です。今回ウエイトレスを担当するのは4人。同じ認知症と言っても、程度や症状は様々です。

節子さん「お客さんじゃない?」

誰よりもお客さんを気に掛けるのは、前にもこのイベントに参加したことがある節子さんですが…

節子さん「(Q何回目ですか?)きょうが初めてです。ベテランでもない。何かお手伝いがあるそうで、まさかウェイトレスするとは思ってもいませんでした。恥ずかしいね、おばあちゃんになってからウェイトレス!」

さあ、ドキドキの1日がスタートします。早速、お客さんがやってきました。

注文をまちがえるゆいまーるな喫茶店

節子さん「これ2つ、これも2つ…」

お客さん「そうそう」

節子さん「どうもありがとうございます。お願いします、初めてですからね」

お客さん「こちらも初めてです」

一方、こちらでは…

元さん「Aランチ、Bランチ、Cランチがあるんですよ」

女性「Aランチ、Bランチ、Cランチ?Aランチが一番いいんじゃないですか?どうせだったらね(笑)」

女性客「じゃあおすすめのAランチで」

元さん「はい、じゃあドリンクは何がいいですか?」

女性「ドリンクは水でも何でもいいよ(笑)」

どんなことが起きても、大きな笑い声で見守るのが、イベントを企画した元さん。息子から、東京での開催を聞いて、沖縄でもやろうとすぐに立ち上がりました。

注文をまちがえるゆいまーるな喫茶店

元麻美さん「子育てをしながら私も支えられたというのがあってこれからは恩返しの気持ちで私ができることは何かと考えこんなに良いものがあるというのを知っているのでもっと一人で持っているんじゃなくて一人でも多くの人とやさしさを共有したい」

また、今回協力した喫茶店のオーナー平良さんには、こんな思いがありました。

喫茶店のオーナー平良さん「私は子どもに重度知的障害の息子がいて、一緒にいつか働けたらいいなということでお店を始めたんですが、それに将来つながることができるんじゃないかということで。これからの社会、施設とかではなく、外に出て色んな人と関わってうまくいけばいいなと思っています」

まちがえても、忘れても「ま、いっか」だからこそ、この特別な喫茶店では、沢山のドラマが生まれているのです。

突然、ポケットにしのばせていたハーモニカを演奏しだしたキヨさん。あるお客さんへのプレゼントでした。

外国人男性客「彼女(キヨさん)がハーモニカを演奏したのには驚きました。「誰かにお願いされたんですか?」と聞くと、「いいえ」と。彼女(キヨさん)は「これはスペシャルギフト」だと言ったんです」

台湾出身の女性客「とても素晴らしいと思います。たぶん台湾でもこのアイディアに興味があると思います。台湾でも認知症を抱える人はたくさんいますから」

客足が途切れることなく、2時間で、60人を超える人が訪れました。こうして、4回目の「注文をまちがえるゆいまーるな喫茶店」は大盛況のうちに終わりました。

ウエイトレスの仕事を終えた皆さんに、待っていたのは…

元さん「お仕事なので…(賃金を渡す)」

キヨさん「いいです」

元さん「ううん、これがお仕事なので3時間頑張ってもらったので」

キヨさん「じゃあエプロンもらう。お金はいいから」

注文をまちがえるゆいまーるな喫茶店

元さん「ホールスタッフは4人ですが、サポートスタッフは20人くらいいる。みんなが誰かのことを思ってやさしさのある空間。(Q.毎回違いますか?)全然違いますね、ハプニングも違うし、ハプニングというか、ハプニングって何ですかね?全部が大成功なのかなって注文したのが間違えて届くというよりも注文を取ることも忘れる、何を届けていないかも認識の中でないので、それを求めてきてくださる寛大なお客さんたちとスタッフなのでひとつひとつがハプニングではなく大成功なのかなと思います」

年をとっても、障害があっても、社会の一員として生きていける。ゆいまーるな喫茶店はその場にいるだけで、そんなことを感じさせてくれる空間です。