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先月、名護市で客の案内をしていたツアーガイドの男性が、滝から落下する事故があり、全治不明の重傷を負いました。この滝は山奥にあり、観光地としては整備されておらず、安全も担保されていない場所です。しかし、いわゆる「穴場」としても人気の場所でした。

この事故から浮かびあがったのは、安全であるはずの観光におけるツアーガイドの在り方の課題でした。

金城記者「ツアーガイドの男性はあちら上の方、20メートルほどの高さから転落しました。そして、あたり一帯ですが、転落防止用のロープや案内看板、歩道などは全く整備されていなく、手付かずの場所となっています。」

警察や消防によりますと、先月15日、名護市天仁屋の山奥にある滝で、ツアーガイドの25歳の男性が滝の上からおよそ20メートル下に落下し、骨盤を折るなど、全治不明の重傷を負いました。

この滝は、地元などごく一部の人の中でしか知られていない、いわゆる「穴場スポット」。インターネットで検索しても、日本語でのサイトはほぼゼロです。そのため、警察は今回の事故の通報を受けた際には、場所を把握している職員はいなかったといいます。

地元住民「道も難しいと思いますよ。(足場が)悪くて。」

地元住民「地元の人たちが行くっていうのは少ないです。向こうは携帯の電波も届かないという話を聞いてますので、もし事故があって、通報ができない場合、その辺が心配です」

沖縄観光コンベンションビューロー・下地芳郎会長「ガイドをされる方は地域のことをよく知っているので、色んなところを見てほしいという思いは強いと思うんですけど、最初に考えないといけないのは、観光客に安全に訪問をしてもらう、これが最大の目的。」

さらにへき地にあるこの滝は、たどり着くまでが非常に難しいところになっています。名護市の山奥にある滝。この滝まで続く道もまた複雑なものでした。草木が視界をさえぎる道や、川の中に入るなど、道なき道を20分ほど進み、ようやくたどり着けるのです。

沖縄観光コンベンションビューロー・下地芳郎会長「自然というのは生き物でもありますから。例えば雨の多い時期だとか、そういうので環境も変わりますから、そういった地域の状況、場所の状況の把握というのはやっぱりしっかりやっていく必要がある。」

観光地として整備されている滝と比較すると…。

金城記者「一方こちら、同じ名護市内にある轟の滝は周辺が公園として整備され、遊歩道も設置されていることから、安全に滝までたどり着くことができます。」

轟の滝には去年12月から数久田区による管理が始まり、それ以降、毎月3000人ほどが滝を訪れていると言います。

沖縄観光コンベンションビューロー・下地芳郎会長「(最近の観光客のニーズは)2通りあると思うんですけど、観光客がよく知ってる場所に行きたいというお客さんと、リピーターになってほかの人があまり知らないところ、もしくは地域の人しか行かないようなところを見てみたいというお客さん側からのニーズもあるんですよね。」

現在、ツアーガイドを行う際に求められる資格や免許はありません。また、行政がそれぞれのガイドがツアー客をどこに案内しているのかを把握していなく、各地域の観光協会や事業者にゆだねられている現状にあります。

沖縄観光コンベンションビューロー・下地芳郎会長「ほとんど知られてないところに行って満足したいという100の目的があるのであれば、30~50で納得してもらう。そこがガイドの役割だと思います。どういうふうなガイドをやっていくべきなのかというところは、ガイド自ら組織化をするなり、定期的な意見交換会をするなりというのは、とても大事になると思います。」

観光の前提にある安全。多様化する観光客のニーズへの早急な対応が求められています。