先週金曜日からの3日間、新潟県で行われた日本最大級の音楽イベント、フジロックフェスティバル。そのステージに立ったのは玉城知事でした。知事が音楽と言葉で訴えたこととは。
毎年新潟県で開催される「フジロックフェスティバル」。国内外の有名アーティストが数多く出演。来場者数も3日間で10万人以上となる日本最大級の音楽イベントです。
その会場にいたのが、ギターを片手に熱唱する玉城知事でした。イベントの最終日となったおととい会場に姿を見せた玉城知事。
玉城知事「これだけカメラ向けられると一体誰が来てるんだろうと思って、みんながきょとんとしてるけど」
県外での音楽イベントということもあり、どこか居心地の悪そうな様子の知事でしたが。
「握手してくださーい」「応援してます」「お会いできてうれしいです」「見に行きます」知事「ドキドキした」
来場客から次々と握手を求められる場面もありました。
「玉城デニー知事、よろしくお願いいたします」「こんにちは。よろしくお願いいたします」
拍手や指笛でステージに迎えられた玉城知事。今回知事が出演したのはフジロックフェスの中で行われるアトミックカフェという企画。もともとは核や原発への反対のメッセージを発信するイベントとして始まったアトミックカフェ。一時期、活動は途絶えましたが、2011年に発生した東日本大震災後の原発事故を受け復活し、毎年フジロックフェスで社会問題を考える企画を行っています。
今年のテーマは「沖縄」。主催者が、知事に出演を打診したことで今回の出演が実現。ステージには知事とともに2月に行われた県民投票の発起人の一人、元山仁士郎さん。県出身のロックバンドオレンジレンジのYOHさん。ジャーナリストの津田大介さんがあがりました。
今年に入り、全国の人に基地問題など沖縄の問題を訴えるキャラバン活動を始めている玉城知事。政治とは縁が遠いようにも思われる日本最大規模の音楽イベントの場で、沖縄の問題をどのように訴えたのでしょうか。
おとといフジロックフェスのステージにあがった玉城知事。日本最大級の音楽イベントを訪れた大勢の観客の前で、オレンジレンジのYOHさんなどとともに、沖縄が抱える問題を題材にトークイベントを行いました。
トークの序盤でYOHさんから沖縄を取り巻く環境について一県民としての疑問がぶつけられました。
オレンジレンジ・YOHさん「(米軍による)いろんな事件とか県内で起こってしまうじゃないですか。報道見てると、そのあと本国に帰ってしまったりとか、だいたいそういう流れになるわけなんですけど、県民としては違和感は感じるんですよ」
YOHさんから出た日米地位協定の話題。県が行った他国の地位協定の調査の結果を踏まえたうえで、沖縄だけの問題ではないと説明します。
玉城知事「ヨーロッパを調べてわかったことは、その国における法律を米軍は守らないといけないということです。そして米軍も国際法上、その国の法律を守る義務があるとわかっていることなんです。これが日本の地位協定と他国の地位協定の一番大きな違い。地位協定というのは沖縄とアメリカの協定ではないんです。日本国と米国との協定ですから、皆さん全員にかかってることなんです。もし米軍人が公務中になにか事件事故を起こして皆さんにその身に危険が及んだとしたら、即座に皆さんは地位協定の縛りをかけられてしまいます」
そして話は辺野古の話題へと移ります。
ジャーナリスト・津田大介さん「県知事の立場で、なぜ今辺野古新基地建設、政府の今進めている方針に反対なのか」
玉城知事「本土で(米軍基地を)拡張するなという反対運動が起きた。そこでどうすればいいかと考えた米軍は『沖縄は俺たちの土地だからそこに行こう』と言って」
津田さん「本土の基地反対運動があって米軍を追い出した結果、そのときまだ米軍施政下だった沖縄に集中するという結果になったんですね」
玉城知事「その集中がいまだに残っているわけです。ですから私たちはこれから先の未来の子どもたちに、これ以上このような状況をそのまま渡しちゃいけない」
今、沖縄で起きていることを他人事ではなく、日本の問題として捉えてもらうために、本土との関係性や歴史的背景を交えながら話を進めた玉城知事。およそ40分のトークを終えると音楽活動を行っていた経験を持つ玉城知事は、フジロックのステージでギターを片手に歌声を披露。
2曲を歌った玉城知事。政治とは縁遠い印象のある音楽イベントでの訴えは観客にはどのように映ったのでしょうか。
観客「こういったところで普段政治に関心がない人とかでも、話を聞くということは意味の大きいことかなとは思います。歌も歌われていたので親しみやすさみたいなところもアピールできたと思うし、そこはよかった」「私もう10年ぐらい来てるんですけど、フジロックに。知事が来るというので単純に興味があって聞きに来たんですけど、音楽が聞けて楽しかったというのもあるので、またこういう機会があったら来てほしいなと思います」
玉城知事もフジロックでの訴えに手ごたえを感じていました。
玉城知事「今まで我々からもあまりアプローチできなかった方々との接点だと思いますので、非常に大切だと思います。ややもするとロック以外は必要ないんだという反応が返ってきたらどうしようとかって感じたりしますけど、そういうものが全然なくて。皆さん本当に関心を持っていただいているんだなと思いました」