日米両政府は7月25日アメリカ軍機が基地の外で事故を起こした際の方針や対応について定めたガイドラインを改定しました。改定と聞くと改善したかの印象を受けますがその実態とは。
県内では2004年の沖縄国際大学でのヘリ墜落事故や、2017年10月の東村でのCH53ヘリの不時着・炎上事故の際に日本の主権が及ぶ土地にもかかわらず、警察や消防などが現場に入れず、事故の調査もできず問題となっています。
改定されたガイドラインでは、アメリカ軍機の事故が起きた際、日米の責任者が”迅速かつ早期に”制限区域内に立ち入りが行われると明記。また、アメリカ軍から日本に対し、事故によって流出する有害物質の情報を速やかに提供することなども加えられました。
そもそも、沖国大でのヘリ墜落事故をきっかけに策定されたこのガイドライン。政府が課題にこたえる形で権限は強化されたようにみえる一方で、立ち入りには日米の合意が必要という点は変わりません。専門家は、ガイドラインの存在自体に問題があると指摘します。
沖縄国際大学前泊博盛教授「極端に言うと、犯罪捜査現場で犯人の許可がないと現場に入れないというような話をしているようなもの、迅速かつ早期の立ち入りが明確になったとありますけど、そもそも内周規制線(規制区域)を握られていること自体が問題で、そういう規制線を張られること自体が日本側は主体的にかかわっていないし、主体者意識が欠落しているということになります。」
また前泊教授は、その実効性にも疑問を投げかけます。
沖縄国際大学前泊博盛教授「そもそも沖国大に落ちたときには日米合同で調査にあたると。規制の外側が日本側、内側は日米共同であたるということだった。捜査権はどうなるかという肝心な部分については当時(改定前)のガイドラインを見ると、現場はアメリカが調査管理する、残さ物も含めてアメリカ側が管理することになっているんです。全部アメリカ側が管理することになっているので、日本側の捜査権は実質及んでいない。日本だけです。犯罪者に犯罪調査を依頼しているのは。そしてその結果を報告を待ち続けているのも日本だけです。こんな状況の中で現場に迅速に入れるように手続きをしましたと、これは笑いものになります。」