Qプラスリポートです。沖縄の食文化を、後世に伝えていこうと取り組んでいる女性たちがいます。彼女たちの姿を通して「琉球料理」の魅力に迫ります。
今年5月、泡盛や芸能とともに日本遺産に認定された琉球料理。中国から訪れた冊封使に宮廷料理としてふるまった料理がその起源だと言われています。しかし…
『(Q:琉球料理食べる機会ありますか?)最近はちょっと減ってますね。料理するのが面倒くさい。正直」「ほとんど作ることはない、外食だね」「(Q:ファストフードと琉球料理だとどっち選ぶ?)んー、現状だとファストフードになっちゃうかもしれないですね」
県が去年出した沖縄食文化実態調査によると、家庭で琉球料理を作ると答えたのは27.6%、さらに琉球料理を日頃から食べると答えたのは17.7%でした。県民の中でも琉球料理を日頃から口にする人は減っているのです。
管理栄養士・伊是名カエさん「一番皆さんが言うのは豚肉の使い方。炒めるにしても煮るにしてもまず最初ゆでて使うことが、他の地域とは違う」
管理栄養士の伊是名カエさん。伊是名さんは琉球料理伝承人として正しい琉球料理の作り方などを教えています。
伊是名さん「資格は調理師、栄養士(のどちらか)を持っていて、10年の実務経験がある者が受験資格を得られて、6日間の講習を受けたのち、1日も休まず受講したものが伝承人になります」
去年誕生した琉球料理伝承人。現在46人が伝承人の資格を有しています。そもそも、琉球料理より沖縄料理という言葉を耳にする方が多いですが、違いがあるのでしょうか?
伊是名カエさん「最初は宮廷料理のことを琉球料理といわれていたが、その後、一般にも普及していって沖縄料理という家庭料理も入ってきて、それも併せて琉球料理という」
伊是名さん「水気を取るということ、そして香りをつけるということ、崩れないように焼くっていうこと。その目的があります。これを『アカヤチー』といいます」
この日作られたのは県民のソウルフード「ゴーヤーチャンプルー」。そして、宮廷料理として重宝された「ミヌダル」。
伊是名カエさん「ミヌダルって冷めても食べれるものなので、脂が多いのを買うと脂が浮いてきたり、触感が悪くなってきたりするんです」
そして完成したのが…
伊是名さん「きちんと作ると皆さん思っていたイメージと違う。こういう風に作るのねであったりとか。こんなに美味しいものだったんだねとか、改めて感じるようなので、私たちが琉球料理伝承人がきちんと伝えて普及していくということが大切だなと」
そしてもう一人、琉球料理を受け継ぐ女性がいました。
こちらは専門調理師の仲村公子さん。仲村さんもまた琉球料理伝承人として沖縄の文化の継承に取り組んでいます。
専門調理師・仲村公子さん「必ずイリチーはカラカラにして仕上げないでくださいよ。汁が見えるくらい、汁をつけながら食べる」
15年以上にわたって、正しい琉球料理の作り方を教えている仲村さん。
仲村さん「ここ最近伝統的な行事や琉球料理を作る機会が少なくなってきている。この料理をなくさないように、受け継いでこれから若い人たちにもどんどん受け継いで残していただきたい」
料理中、仲村さんは私たちが普段よく目にするある料理について教えてくれました。
仲村さん「(Q:ソーメンチャンプルーじゃないんですね?)ソーメンタシヤーです。チャンプルーっていうのは、琉球料理では季節の野菜と島豆腐が入らないとチャンプルーとは言わない。ソーメンチャンプルーていうのは豆腐が入ってないですよね。そーめんを油でさっと炒める。炒めるということはタシヤーになる」
私たちが普段何気なく使っているソーメンチャンプルーという言葉は誤った使い方だったのです。
仲村さん「こう持って、ゆっくりゆっくり。柔らかかったらぼきっとなる。硬かったら立ったまま」
そして、完成したのが島野菜のパパイヤをふんだんに使ったパパヤーイリチーと芋をすりつぶして揚げるウムクジアンダギー。
カルチャースクール生徒「美味しいです。とてもおいしいです」「美味しい。専門の先生から教わって習うのと自己流でやるのとは全然違う」
伊是名カエさんと仲村公子さん。二人の琉球料理伝承人にはある共通の思いがありました。
伊是名さん「琉球の歴史、文化を含めて、先人たちが私たちに残してくれたものをしっかり受け継ぐ、正しく受け継ぐそしておいしく仕上げる。ただ作るだけでなく、意味合いだとかを含めて伝えるようにしています」
仲村さん「沖縄の食文化というのは世界に誇れて、世界に発信できる食文化だと思う。それを私たち伝承人が間違いなく正確に調理法を伝授して、この琉球料理という食文化をずっと後世に残していきたいと思っています」
沖縄の文化や歴史を育み、県民の暮らしの中にある沖縄料理。そのおいしさやすばらしさを伝えていくために琉球料理伝承人は奮闘しています。