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アメリカ軍が使った化学物質による地下水、そして河川や湧き水の汚染が深刻になる中、新たな問題が浮上しました。アメリカ軍基地からの廃棄物を受け入れている沖縄市の産廃処理場。そこの地下水も汚染されていたことが発覚したのです。

2年前、沖縄市にある産廃処理業者が、不法投棄を理由に、営業許可を取り消された。復帰前からこの場所で、ゴミ処理をしていた業者だ。近隣からは、環境汚染を心配する声があがっていた中、それが現実となった。

リポート「あちら、山のように見える処理場から県の調査で、高濃度の有害物質が検出されていたことがわかりました。」

2018年に県環境部が実施した、産廃処分場とその周辺の土壌や地下水を調査した報告書。環境NGOインフォームド・パブリック・プロジェクトの代表、河村雅美(かわむら・まさみ)さんが情報開示請求をして入手したものだ。報告書からは、深刻な実態が浮き彫りになった。

河村雅美さん「基本的には土壌汚染であったり地下水・河川を汚染している事実、それが、文書の中から事実がわかってきて、非常に深刻な問題だということがわかってきて。」

産廃処理場の地下水汚染

報告書によると、処分場内の土壌から国内の基準値を大幅超えるダイオキシンやヒ素が検出されていることがわかった。さらに地下水の分析では、発がん性などが指摘される有機フッ素化合物PFOSやPFOAがアメリカの環境保護庁が定めている勧告値よりも非常に高かったことが報告された。

なぜ、このような状況なったのか。河村さんは次のように指摘する。

河村雅美さん「ここは米軍のゴミを引き受けてきた、そういう処分場ですよね。水の供給と同様に米軍のゴミを処理するという「インフラ」をこの地帯が支えてきたことになると思います。

沖縄市議会議員で、近くで農家を営む池原秀明(いけはら・ひであき)さん。池原さんによると、この場所は復帰前からアメリカ軍のゴミ捨て場になっていたという。

 池原秀明さん「今、産廃処理場になっているとことは、まだくぼ地があって、まだ米軍が使っていたのでそこは本格的には返していなかったんです。」「もう本来は怒りでしかないんですよ。我々としては、農業農用地なんですね、本来は、農業でやるべきものが、なんでここで産廃が埋まったかということなんです。」

地域の不安が広がる中、注目すべき文書が見つかった。フリージャーナリストのジョン・ミッチェルさんがアメリカの情報公開制度を利用して入手した、アメリカ軍と廃棄物処理業者との契約書。そこには、2014年から15年にかけてアメリカ海兵隊が普天間基地からこの業者に大量の廃棄物を運び込んでいたことが記されていた。それは「AFFF」というもの。アメリカ軍が使っている泡消火剤だ。ミッチェルさんは、このAFFFがPFOSやPFOAを含んでいる可能性が高いと指摘する。

産廃処理場の地下水汚染

ジョン・ミッチェルさん「こ契約書では、142トンの消火剤があったことが分かっている。普天間からキャンプキンザーに保管され、沖縄市の倉敷環境に埋められた。」「この文書には、AFFFが入っていることがわかる。これは消火剤として世界中のアメリカ軍が使っているものです。この消火剤は、ピーフォスやピーフォアなどの汚染物質が使われている。」

ミッチェルさんは、アメリカ軍が業者に、廃棄物の危険性を知らせないまま押し付けている可能性や、こうした廃棄物によって、周辺の土壌や水が汚染されている危険性を指摘する。

ジョン・ミッチェルさん「この文書は、海兵隊から契約業者に出されたものだが何を捨てるのかは書いておらず、危険なものは捨てていないと書かれている契約業者はどれほど危険なものが捨てられるのかは知らされていない。文書はこれらの化学物質が汚染物質だということは書かれていない。」

ただ一方で、環境NGOの河村代表は県の調査報告書にあるPFOSやPFOAの汚染がアメリカ軍の廃棄物だけに由来するものかどうかはまだ不透明だとしたうえで、どれだけの範囲に汚染が広がっているのかなど専門家も交えて、検証することが必要だと話す。

河村雅美さん「これだけ高濃度のものが出ていて、河川、それから地下水に浸出しているわけですから、その対策というのも同時に考えてなければないか、特定というところだけでは問題は今解決しないので、今、私たちの環境とか健康とか、そういうものの安全確保のという面で、何を今やらなきゃいけないかということを含めて、調査設計とかその対策の設計というはしていくべきだと思う。」

産廃処理場の地下水汚染

地元で農業を営む池原さん。汚染の不安とともに、いま「風評被害」も心配していると話す。

池原秀明さん「地域のものとしてはこれが、結局風評被害として出ていかないかどうかが心配するわけです。こういうPFOSの問題が出たんで、だからそういう面では、やっぱりはっきり特定としてもらって、原因を特定すればまた、解決策も見いだせるので、それも早めに見つけてくれということで。」

アメリカ軍基地周辺の河川や湧き水、そしてそれらを水源とする浄水場で発覚した汚染。さらに今度は、汚染物質を含んだ廃棄物が移動し、民間地を汚染しているという問題も。今、県民の生活が脅かされている。