Qプラスリポートです。いじめや不登校、非行など、子どもたちを取り巻く環境が複雑になっている中、彼らを見守り、支援しようと取り組んでいる人たちがいます。そんな「少年サポートセンター」を取材しました。
楽しそうに農作業をする少年。彼は長い間学校に行っていません。そんな少年に居場所作りとして行われているのがこの農作業体験です。企画したのは県警が設置している少年サポートセンター。これは警察官とともに大学生など一般の人が参加しています。
少年サポートセンター 大城警部「少年サポートセンターは少年の非行防止と健全育成を目的として立ち上げられたセンターなんですけれど、主な業務としては街頭補導活動や非行防止教室、問題を抱えた少年の立ち直り支援などを行っています。」
県内の少年犯罪件数はおよそ800件。年々減少傾向にあり、2017年からは1000件を下回ってます。それらを見ているとある特徴が見えてきました。
大城警部「特に犯罪を犯してしまった少年の特徴を見てみますと、中学生が犯罪に手を染めてしまう悪いことをしてしまう数が全国一多い。」
事件を起こした少年のうち中学生の割合はおよそ56%。半分以上が中学生なのです。少年サポートセンターでは問題を抱える少年たちが非行に走るのを未然に防ぐため、農作業体験を通した居場所づくりや学習支援を行っています。
警察ボランティア 金城さん「われわれでできる問題ではなくて、地域住民みんなが昔のように『どこどこの子供だ』『どこどこの誰だ』というように名前がわかるぐらい地域住民の人たちがこの子たちをみんなで見守ってあげるというのが一番いい方向じゃないかなと私は思う。」
こちらは学習支援の様子。少年問題を専門に扱う警察職員の少年補導職員が勉強を教えます。
少年補導職員 佐渡山さん「一緒に時間をかけて悩ませる、できているところはできているねと褒めたり励ましたりしながら本人に自信を持たせて指導しました。いろいろな大人やサポーターとの関わりがあることによって、子供たちは自分は守られている、自分には多くの味方がいるんだという自信にもつながる。」
かつてサポートを受け、今では社会人として働く女性に話を聞くことができました。宮城利恵子さん。印刷会社の社長として忙しい日々を送っています。
OKIBカンパニー 宮城さん「(当時)私服で犬の散歩をしながら、授業中廊下を歩いて来たよ、みたいな感じ。」
宮城さんは、サポートセンターの存在を当時はあまりよく思っていませんでした。
宮城さん「(Q.当時サポーターをどう思っていた?)親とやり取りしていたり、先生方とサポートセンターの方がやり取りしているので、子供としては面白くない部分もある。何を話しているのか、大人で囲んで学校に行かせようとしているのか。」
しかし、あることがきっかけで少しずつ変わっていきます
宮城さん「中学生のころ子供ができて、親に相談できないものをサポートセンターの担当の方にお話ししたりとか、プライベートな話をするようになってからだんだん仲良くなった。」
宮城さんは、20年経った今でも当時のサポーターと連絡を取り合っています。今は少年サポートセンターは少年だけでなく、親にとっても必要な存在だと考えています。
宮城さん「(親も)悩んでいたと思うんですよね。相談できる相手がいなくて。私の親もサポートセンターの方たちに頼っていたと思うので、すごい力になってくれていると思うので、子どもたちや親御さんたちの力になっていける存在でいてくれたらなと思います。」
いじめや虐待、未成年に忍び寄る薬物や大麻など、少年たちの周りには深刻な問題も横たわっています。こうしたなか彼らを犯罪から遠ざけ力になりたい。少年サポートセンターの取り組みはこれからも続きます。