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Qプラスリポートです。「退職代行サービス」というのをご存じでしょうか。退職を決意した本人に代わって、働いている会社に退職を申し入れるというサービスのことで、今、利用者が急増しています。

なぜ自分で伝えられないのか。県内にある会社を実際に利用した人に話が聞けました。

4月に新社会人が誕生して1カ月。それぞれの職場で奮闘する姿が見られる中、退職という選択をした人がいました。

退職代行サービス利用者の男性(元販売員)「ちょっとわかんなくなった、、、もっとこう社会人になるってもっといいものだと思ってました」

元販売員の男性。今年3月に県内の大学を卒業し、携帯ショップなどを運営する会社に入りましたが、1カ月で退職しました。学生時代のスーパーマーケットでのアルバイトの経験からやりがいを感じるという接客業を中心に就職活動を進め、4月に入社。希望に満ちた社会人生活のはずでしたが…。

退職代行サービス利用者の男性(元販売員)「お客様第一になるように接客を行ってたんですけど」「(上司から)『君のやり方は違う。それでは売り上げにつながらない』と言われた。売り上げにつなげるよりも信頼を得るほうがいいっていう話だったんじゃないのかなということを感じた。」

なぜ自分で言えない? 退職代行サービス県内にも

退職代行サービス利用者の男性(元販売員)「不眠とまでは言わないですけれど、睡眠の質の悪化と胃痛。最終的に4月の終わり5月の初めぐらいには血便が出た」

ストレスにより男性は心身ともに支障をきたし、入社1カ月後に退職。その退職の際に利用したのは驚きのサービスでした。

退職代行サービス「SARABA」・岡本大輝さん電話「弊社『退職代行サービス』を行っておりまして」

入社1カ月に会社の在り方に疑問を抱いたことで体調を崩し、退職を決意した男性が利用したサービスとは!?

岡本さん電話「もしもし。私、株式会社ワンの岡本と申しますけれども。お世話になっております。弊社、『退職代行サービス』というのを行っておりまして、御社でお勤めされております〇〇〇〇様のほうから退職の代行の依頼がありました」

「退職代行サービス」、その名も「SARABA」!同様のサービスは現在、全国に市場を広げていて、LINEなどで「会社を辞めたい」と相談すると、本人に代わって会社に連絡。会社と全くやり取りすることなく退職できるというものです。

岡本さん電話「〇〇様なんですけれども、一身上の都合により本日以降どうしても出勤することができないと言っておりまして、このまま退職の意向を進めていただければと思います」「また、〇〇様なんですけれども、御社との直接のやり取りを希望しておりませんので、恐らく御社が〇〇様宛に電話をしても出ない恐れがあります」「はい、それではよろしくお願いいたします」

なぜ自分で言えない? 退職代行サービス県内にも

電話は5分ほどで終了。SARABAは県内に事務所を置いているもののインターネットと電話で行えるサービスのため全国から相談が寄せられ、20代と30代を中心に毎月500人ほどが利用しているといいますこのうち県内の利用客は、先月と今月の2カ月間でおよそ20人でした。

取材に応えてくれた元販売員の男性が退職代行を利用した理由は何だったのでしょうか。

退職代行サービス利用者の男性(元サービス業)「私の場合は、言い出しにくいのは入って1カ月だったからっていうところが大部分を占めていまして、もしこれが1年とか経っていたんだったら自分で言えただろうなと思う」「(上司に)相談ができるような信頼関係がまず成り立っていなかった」

岡本大輝さん「20代、30代で8割がた占めてます」「(辞めたいと)言ったところで絶対聞いてくれないとか、むしろ「殺すぞ」とか言ってきたりとかで、もうどうしようもなく依頼してくださる方もいます」

なぜ自分で言えない? 退職代行サービス県内にも

「ブラック企業」や「パワハラ」など働く人を取り巻く環境の変化がサービス誕生の要因となったのです。去年7月にサービスを開始しまだ1年も経っていませんが、中には5回もサービスを利用したという驚きの常連客もいたといいます。

岡本大輝さん「昔の価値観が崩壊してきて、50代の方とか、人事担当の方で多いんですけど、そういった方ってまだ「昔の遺物」があると思ってらっしゃるんですけど、もう20代の人とかはそういうのは「ない」と感じているので、そこの相違はあります」

まさに「今風」なサービスに街の人は…

30代女性「だめじゃないですか」「辞めるにしても何かあったにしてもやっぱり理由はちゃんと伝えるのが良いと思います」50代男性「社会人としての責任で、仕事辞めるときはそれなりの手続きして辞めないといけない」

70代女性「会社って怖いじゃないですか。相手にするのは。だから我慢してる人が多いんじゃないかなと思う。なんでも代行の時代だから、代行で済ませれば人生の選択肢が広がるんじゃないかなと思うんです」30代男性「ブラックで辞めさせてくれないんだったらありだと思います」

賛否両論の退職代行サービスですが利用することで、救われた人も多くいます。

退職代行サービス利用者の男性(元サービス業)「身体的に今胃痛とかなくて、体調面では良くなったというか普通に戻ったので、やっぱり普通じゃなかったんだなってところから戻れたのは良かったんじゃないかなと思ってます」

岡本大輝さん「(利用者からは)感謝されることは多いですね。『本当に自殺まで考えていたんですけれども助かりました。ありがとうございます』といってくださる方は多いです」「どんどん退職していって自分に合った職場を見つけるというのが今の流れなのかなと思います」

辞めたくても、伝えられない。その背景にはそれぞれにやむにやまれぬ事情があり、「辞めること」に特化した新たなサービスに、今、注目が集まっています。

ここからは取材した金城記者です。驚きのサービスでしたよね。

金城記者「そうですね。働く環境が日々大きく変わっている今だからこそ求められているサービスだと感じました。」

しかし一方で、まだまだ新しいサービスだからこそ弁護士からは弁護士以外の人が報酬を目的に、法律事務(=弁護士が問題を解決するときに行う業務)をすることが、弁護士法で禁じられているとの指摘があります。平良卓也(たいら・たくや)弁護士に話を聞きました。

なぜ自分で言えない? 退職代行サービス県内にも

ふくぎ法律事務所・平良卓也弁護士「十分な法律知識がない中でトラブルを解決するということになると、本当にその人の利益になるかどうかわかりません」「要は国民一般の権利を守るために、弁護士に法律事務を独占させている」

金城記者「一方で業者側は「会社に残業代などの未払いや有休消化についての「交渉」は行っていない。本人の意思を代わりに「伝えているだけ」で、違法ではない」と主張しています。今回取材した業者でも法律に抵触しないよう配慮して仕事にあたっているとしています。

退職代行サービス。法律の話はまた別として、多くの需要があることに驚きました。