Qプラスリポートです。沖縄戦や沖縄の今をテーマにした「朗読劇」が先日行われました。大学生も参加した舞台には言葉の力で平和を伝えようと執筆活動を続ける一人の作家の思いがありました。
男「人間は言葉を作り、夢を作り、文化を作り、希望を作りました」
先日、沖縄国際大学で上演されたのは、人間の歴史と志の物語を描いた朗読劇「にんげんだから」人が地球に誕生し、今につながる壮大な時間の中で人が犯す過ちや、希望を「言葉」に込めました。
舞台の脚本を書いたのは大城貞俊さん。これまで数多くの芝居の脚本を手掛け、沖縄の文学界をけん引してきた作家です。
大城貞俊さん「朗読劇は、大きな仕掛けもいりませんし、言葉の演技と言われてますが、数人で少ない人数で舞台が作れます。沖縄の事を考える、生きている自分をもう一度見つめなおしてみるという事で、朗読劇と言う方法をとったんです」
朗読劇の演出と朗読を担当したのは役者で琉球大学の准教授でもある上江洲朝男さん。
上江洲朝男さん「これまで、芝居は体を使ってとか声と身体で表現してたので、果たしてできるんだろうかと言う不安と、やってはみたいとずっと前から思っていたんですね。いい機会だなと思って、即答でやりたいですと答えました。」
本番当日、沖縄国際大学の会場には親子連れなどが訪れ、展開される朗読の世界に引き込まれていきました。
男「生まれたぞ。ほら、元気な赤ちゃんだ。六江、大丈夫か?」
女「うん。生まれたのね、私たちの子」
男「そうだよ。無事に生まれたよ、俺たちの子どもだ」
未来につながる新しい命の誕生に喜ぶ2人。しかし、やがて人口を増やした人類は醜い戦争を起こします。
男「戦争だ!」
女「そうだ!戦争だ!」
男「戦争はいつでも正義の鎧をまとってやって来る。戦争はいつも味方の顔をしてやってくる」
女「そして人間を壊す」
やがて物語は沖縄戦で起きた集団自決の悲劇をクローズアップさせます。
おばあ「ウー。カマーだよ。」
男「カマーは死にましたよ…」
おばあ「はい、死にましたよ。だから、私が迎えに来たんです。」
男「カマーは、僕が殺しました。まだ昔のことではありません。わずか73年前のことです。」
20万人の尊い命が奪われた沖縄戦。舞台の語り部は、戦争を生き抜いたおじいとおばあとなり「沖縄の今」を観る人に問いかけました。
おじい「おばあ……、美代子も、太良も、マカトも、一緒だろうなあ。待っていろたらよ、待っていろよ。お土産を、たくさん持って行くからな。わしらの島、沖縄は、 まだアメリカーの軍事基地は、なくなってないよ。あれ、自衛隊までも島々に基地を造ろうとしているよ。だあ、沖縄は、まだニライの風は吹かないので、三線で美しい風、吹かしてから、おばあのところへ行くからな」
「沖縄で吹く風は死者たちの魂を集めて吹く風」なんだ。作家大城貞俊さん自身の作品を描くテーマでもありました。
「人類は様々な言葉を作ったじゃないか。」
男「言葉の数だけ平和な言葉を作る。」
女「いつの時代にも、女たちは、母たちは、太陽なのよね。」
男「当たり前だよ。愛すべき命だ。」
終盤舞台では、大学生が群読に参加。次の世代に言葉を伝えたいと願う大城さんの思いがそこにありました。
男「夢はあきらめずに持ち続ければ、かならず叶えられる。明るい未来は、必ずやって来る。」
男たち「シュート!」
女たち「スマッシュ!」
男たち「ストライク!」
全員「にんげんだから。にんげんだから」
観客「戦争で亡くなった姉がミヨコって名前で、すごく感動と共に戦争の事も母から父から聞いたものと重なって、今の沖縄を考えるきっかけになったかなと思いました。」
観客「やっぱり言葉の持つ力と言うのは凄く大きなと思って。また最後に学生さんたちの群読もとてもパワーを感じて、とてもいい作品でした。」
観客「最近の基地問題だけじゃなくて、昔からのこの昔の戦争からの事とかも映像が浮かんでくる感じがしてよかったです。」