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普天間爆音訴訟 住民側 事実上敗訴

3400人あまりの住民が原告となった普天間爆音訴訟の控訴審。住民側の事実上敗訴の判決となりました。福岡高等裁判所那覇支部は、国の賠償を一審よりも減額したほか、飛行差し止めも認めませんでした。

この裁判は、普天間基地周辺の住民ら3400人あまりが、国に対して、夜間の飛行差し止めやオスプレイなどに派生する低周波騒音による健康被害の賠償などを求めていたものです。

判決で、福岡高裁那覇支部の大久保正道裁判長は、アメリカ軍機の飛行停止については「その支配の及ばない第三者の行為」だとして原告の訴えを退けました。また騒音による健康被害は認めたものの、2010年の第一次普天間爆音訴訟判決で認定されていた低周波による被害は認めませんでした。

賠償額も約21億2000万円と3億円減額されていて、原告にとっては事実上の敗訴判決とみられています。

原告団の島田善次代表は「第一次(訴訟)の内容よりさらに後退している。現実は第一次(訴訟)より、話にならないほど、オスプレイやF35が私たちの生活を脅かしている現状であります。とにかく怒りを覚える判決だ」と話しました。

原告団は今後、上告する方向で検討するということです。

普天間爆音訴訟 住民側 事実上敗訴

ここからは金城記者と一緒にお伝えします。きょうの判決、事実上の敗訴ということですが、一体どのような内容だったんでしょうか。

金城記者「まずは一次訴訟と二次訴訟を比較します。一次では原告の人数が400人でそれが二次訴訟では、10倍近く増えて3400人余りになりました」

激しい騒音と、それに伴う健康被害を訴えていたと思うのですが、裁判所の判断はどうだったんでしょうか

金城記者「ポイントとなったのは『低周波』です。一次訴訟ではヘリコプターなどに派生する『低周波』を騒音被害として初めて認定していました。ところが今回の判決では、この『低周波』を騒音被害が認められなかったんです。しかも、判決文では、なぜ認定しなかったのか、裁判所の判断は示されていませんでした」

金城記者「また、住民たちが一番求めていた『飛行の差し止め』については、日本側がアメリカ軍機の運用に関与できないとするいわゆる『第三者行為論』を理由に認められませんでした」

司法の限界を感じます。

金城記者「今回の判決では、損害賠償もおよそ3億円減額されています。オスプレイの配備によって、ますます被害が大きくなっていると住民たちは訴えていますが、今回の判決はそれを認めなかった形です。住民側は今後上告する見通しです」