シリーズでお伝えしている県内のこの1年の出来事を振り返る「回顧2018」。きょうは「経済」です。
平成を締めくくる年、2018年、今年のキーワードは「1528」です。実はこの数字「今年でちょうど何十周年!」など「周年」を迎えた県内企業の数です。そこで今回は激動の時代を生き抜いたアニバーサリー企業のトップリーダーに今年の沖縄経済を振り返って頂きます。
まずは、創業70周年を迎えた『琉球銀行』。戦後のアメリカ軍統治下において、沖縄の経済を支える金融機関として1948年に設立。
70周年となる今年は、キャッシュレス化に対応するサービスなど、様々な事業を展開しました。
川上頭取「一言でいうと順調、ただ順調の一方で将来に対してリスクが高まるような材料も見えつつある」「例えば地価の上昇、建築資材の高騰、人手不足」「経済が発展する邪魔になるような指標というのが目についた1年でもあった」
好調な沖縄経済、しかし好調がゆえに生まれた課題が影を落としていると言います。
来年の課題は? 川上頭取「『攻め』収益をしっかりあげていく、それから将来、景気の変動があってもしっかり対応できるような内部の体制をつくる。2つのことを同時にやっていく。」Q攻めと守りを同時に?A川上頭取「バランスよくやっていく。今までみたいに拡大一辺倒の事業運営はかなり厳しい。」
続いては創業60周年を迎えた「沖縄ツーリスト」国際通りに面した那覇市・松尾で1958年に創業。沖縄の観光のスタートとなったのは、慰霊団の受入れでした。
60周年となる今年は電動スクーターを石垣島に導入したり北海道と沖縄を繋げるプロジェクトなどをスタートさせました。
東会長「やはり自然災害も多い年だったと思います。はしかの流行、風評もあり、観光という意味では伸び悩んだ年」
今年度、上半期の県内への入域観光客は519万7300人と過去最高を更新。しかし台風などの影響で国内観光客は前年を下回りました。
来年の課題は?
東会長「観光公害、成長痛、観光先進地、観光客が増える、官民一体となって解決するか地域に対するストレスをどう与えないような観光を展開していくかが大事。」Q期待することは?「2020年の第二滑走路準備の年、観光の形態が大きくかわる、どういう変化が起きるか。予測できる能力、それに対して準備をできる能力」
続いては「周年企業」で最も歴史が長い「瑞穂酒造」。嘉永元年・西暦1848年琉球国王・尚泰王即位の年に首里に誕生した「瑞穂酒造」
玉那覇社長「思い切って『洋酒』泡盛のベースが使えるということで本年度はスピリッツ『クラフトジン』の開発をいたしました。」
泡盛出荷量の低迷を食い止めるため、次々と大胆な商品開発に踏み切りました。「泡盛」という名前をあえて捨て、中国のアルコール市場に合わせた「白酒」の展開も始めました。
玉那覇社長「飲酒人口の減少、若者のアルコール離れ、それにめげずに海外も含めて展開もしながら飲み方の提案をしていきたい」
老舗泡盛メーカーが時代に合わせて、大きな舵を切った一年でした。
最後にお聞きしたのは、創業70周年の「リウボウ」1948年、琉球貿易商事株式会社として創業百貨店の売り上げが全国で低迷する中、昨年度は、過去最高の売上高を記録し、全国から注目を集めています。
糸数会長「百貨店のブランドがここだけのものがないと、イベント、サービスがないと厳しい。独自性を持とう。『楽園百貨店』地域完結型、生き残っていくキーワード」
それでも今年は手放しでは喜べなかったと言います。「お客さんの数は増え、売り上げは上がった。沖縄県全体が潤う一方、好調ですが人手不足が『嬉しい悲鳴を超えた』深刻になりつつある。」
沖縄の小売、流通業界の2019年とは?「サンエーパルコ、セブンイレブンは脅威にはなります。脅威が出てくると自己改革のレベルが上がる。生き残っていかないといけない。」「経営者からすると皮肉な話ですが、また全体の底上げをするにはちょうどいい。」「それは沖縄全体の小売・流通を代表して言うとレベルは絶対上がると思います。」
沖縄経済を取り巻く環境が大きく変わった2018年。好調な伸びを見せる県経済一方で多くの課題も山積しています。来年はこの好調さをどう維持できるかが問われる一年となりそうです。