自衛隊の誘致に揺れる国境の島の選挙。町民がリーダーを選びました。
任期満了に伴う与那国町長選挙がきのう行われ、現職の外間町長が再選を果たしました。岸本記者です。
きのう行われた与那国町長選挙では自民・公明が推薦する現職の外間守吉町長が元町役場職員の田里千代基さんに100票あまりの差をつけて再選を果たしました。
6月に防衛省を訪れ、陸上自衛隊のレーダー部隊の与那国への配備を直接要請した外間町長。この動きに、浜田防衛大臣も素早く反応しました。先月、陸上自衛隊那覇駐屯地のトップに就任した反怖陸将補もー
反怖陸将補「陳情があったということは、我々、第1混成団の南西諸島でのいろいろな活動が認められたのではと嬉しく思う」
こうした国と外間町長の動きに対し田里候補は「自衛隊では町の活性化は図れない」と真っ向から反論。人口1700人の与那国島を真っ二つに割る激しい選挙戦が展開されました。そしてー
外間町長「私は今の状況やこれまでの状況を見てきて、自衛隊誘致を一つの産業だと位置付けている。防衛省から具体的な話が出てきた時に具体的に分析して、与那国町から要求する部分もたくさんありますから」
一方、敗れた田里候補はー
田里さん「引き続き、民意の声を拾い上げながら、自衛隊誘致問題については、みんなの声を聞いて速やかな行動を起こしていかないといけないと思う」
「誘致」の現職再選 与那国への自衛隊配備は
取材した岸本記者です。今回はあくまで町のリーダーを選ぶ選挙で自衛隊の是非を問う住民投票ではないわけですが、自衛隊配備に向けた流れになるんでしょうか?
岸本記者「自衛隊の問題はあくまで争点の一つでしたが、国には非常に大きなメッセージとして伝わったことは間違いありません。でも500人以上の町民が田里さんに投票した訳で、町長としても自衛隊配備に反対する人達の声を完全に無視する訳にはいきませんから、町長は当選を決めた後に、自衛隊に関する住民説明会を必ず開くと明言しました。また、住民投票を行う可能性についてはこう述べています」
外間町長「この選挙結果が出たら、自衛隊誘致に関する民意と見るべきたという声が多かった。住民投票をやることを避けるべきだという意見がある中で、その辺の(町議との)政策調整が出来ていない。(自衛隊配備に)賛成する町民514人が署名を持ってきているが(反対する人達が)どれだけ署名を集めるかわからない。このあたりの状況を見ながら住民投票をするか、しないか決めていきたい」
町長のまわりにいる支援者が「住民投票は必要ない」と言っているようですが、どんな人達なのですか?
岸本記者「与那国には現在6人の町議がいるんですが、そのうちの5人が外間町長を支える与党で、住民投票はしなくてもよいと町長を説得しているようです。その背景には来年夏に行われる町議選にまでこの問題を争点として引きずりたくないという理由が見え隠れします。でも、町長としては島全体をまとめる必要がありますから、そこで住民投票の決断をしかねているという状況です」
岸本記者「また『自衛隊は一つの産業だ』と言い切ってしまう町長の姿勢には疑問の声も多い訳ですから、今後、防衛省からより具体的な計画が出てきた段階できっちりと住民説明会を開いて、この問題だけに絞った住民の判断を仰ぐべきだと思います」