さて、県は辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票実施へ向けて準備がすすめられていますが、石垣島でも、今、ある計画をめぐり市民が立ち上がりました。普段はアセロラやマンゴーなどを育て、自然の中で穏やかに暮らす人々。若者たちの訴えとは。
おととい、石垣市内のライブハウス。演奏するのは、島で農業や畜産業に携わる20代の若者たち、その名も「ハルサーズ」彼らには、発信したい思いがありました。石垣島に持ち上がっている、陸上自衛隊の配備計画。島の中心部にあたる平得・大俣地区のおよそ46ヘクタールに、ミサイル部隊など500人以上が配備される計画です。
今年7月、中山石垣市長は自衛隊の受け入れを正式に表明。それを受けて今月2日、沖縄防衛局は工事の入札を公示し、来年2月から着工される準備が整いつつあります。
島の人たちを置き去りにして進められる計画。こうした中。
金城龍太郎代表「仕方がないという声を聞いて意見を言うのがダメみたいな雰囲気が流れているのがすごく寂しいです。(行政と)コミュニケーションを取るために島の意見をみんなで出す署名運動になればいいなと思います。」
市民たちは市や国から十分な説明がなく、民意が問われないままないまま計画が進められるとして、「石垣市住民投票を求める会」を発足。配備の賛否を問う住民投票を実施するため、署名活動を始めました。
代表の金城さんは、配備予定地からおよそ400メートルのところにある、果物農家の2代目。アメリカで大学を卒業、就職したものの、父が30年前にこの地で開いたマンゴー農家を守ろうと島に戻りました。
今月には第1子の誕生も控えています。住民投票を呼びかけたのは、島の人々が島の未来について考え、答えを出したいという純粋な思いからでした。
金城さん「この基地配備計画が浮上してから市長選や市議選があったんですがしっかりこの問題にポイントをおいた民意が欲しいと思って。」「市民が反対の声もあって賛成の声もあるということは一つの島の問題だと思うので、この問題についてできれば島内で考えて島内での答えも出したいとうのが素直な考えです。」
金城さん「予定地はこの直線状くらい」「畑と畑の境界線に木があるそこはだいたい中に水が流れているちょっとした水路になっていて、予定地の真下にすごい深い谷になっていてそこに雨や山からの水が浸透して、くみ上げられた地下水は飲料用水や農業用水にまわされていて僕たちもダムからの水だけで生活していると思っていたんですよ今年までは。」
実は、予定地となっている場所は、生活や農業用水の水源であることが市民らの調査によってわかりました。9月には専門家が現地調査を行い、環境アセスメントの必要性を報告しましたが、予定地以外の周辺地域の行政による環境調査は行われる気配はありません。
金城さん「(議会では)市長は汚染されたらそこを切るだけだという風に言っていたので、もっと根本的な処置があるんじゃないかと思うんですが、この於茂登山からの水は海に行くので僕たちが使う水を切ってもその水を求める生き物がいる。そこの不安を解消したいですよね、調査をしっかりして。」
しかし、金城さんたちにとっては別のハードルも立ちはだかります。実は、石垣市議会では過去に2度、野党からの住民投票条例案が否決されているのです。
金城さん「政治や権力を持つ方たちが大きな壁だとは思うんですけど、みんなで一回踏みとどまって考えてたくさんのアイディアを出して考える必要があると思うのでやる意義はあると思います。」
きのうまでに集まった署名は1121筆。金城さんら住民投票を求める会では、今月末までにおよそ1万筆を集め、市が市の所有する土地の売却に動き出すとみられる12月議会が始まる前に議会に署名を提出する予定です。