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県内企業の様々な挑戦をお伝えするQビズです。きょうは、低迷が続く泡盛業界で初めてとなる、新しい海外展開戦略についてお伝えします。

「うーん、この泡盛をどうやって中国の人に飲んでもらうか」

Qビズ 中国市場へ 沖縄白酒

今月19日、那覇市で開かれた、ある商品の発表会。紹介されたのは、沖縄白酒「王国貢酒」。

「沖縄県の新たな特産物、特産品に育てたい。これが我々が目指しているものです」

きょうは泡盛業界が、人口13億人の中国市場をターゲットに開発した全く新しいお酒にについて、ご紹介します。

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沖縄白酒は「パイチュウ」として親しまれ、中国で最も一般的に飲まれている「白酒」に分類されます。その瓶に、もはや泡盛という文字は一切ありません。

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一体、どこで造られているのでしょうか。沖縄白酒を貯蔵しているタンクは、那覇市の瑞穂酒造の酒蔵の中にありました。

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泡盛は、製造の最終工程にあたる「蒸留」を経た「原酒」の状態で、アルコール度数は50度前後です。通常は、この原酒に割水をして度数の調整を行います。しかし、沖縄白酒は、アルコール度数53度の原酒をそのまま使っています。

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瑞穂酒造・玉那覇美佐子社長「原酒というのは、やっぱり初の試み。コクもありますので、それが中国市場の消費者の皆様に受け入れていただければ、この泡盛のもともとの製法も活かしていけるんじゃないかなと」

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こちらの酒造所では、これまでにも中国向けの商品を開発してきました。こちらの商品、中国で流通しやすいよう、専用の500ミリリットルのボトルを使って、縁起のよい8という数字に合わせて、度数の調整を行いました。しかし結局、中国市場への浸透を図ることはできませんでした。

「泡盛」という名前を、あえて捨て、中国のアルコール市場に合わせた商品を開発する。プロジェクトをしかけたのは、那覇市の企業。

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ビンコウHD・中原英越専務「泡盛の原酒ですね、中国の白酒を飲み比べた中でも抜群に美味しかったですね。全く遜色ありません」

プロジェクトの中心となる中原さんは、政府系金融機関の現地駐在など、中国駐在22年のキャリアをもつ中国マーケットのエキスパート。

ビンコウHD・中原専務「片仮名で言うと、バブルフルなんですね。お酒としては認識できません。ましてやお酒として認識したとしても未知のお酒ですよねそういうことでネーミングが問題があった。(泡盛は)ものすごい大きなマーケットの、ものすごいニッチなところに入って、しかも高い。そうなるとなかなか居酒屋に行っても、そこの端っこにある泡盛くださいというのは、おそらく沖縄の関係者ぐらいしかいないんじゃないか」

沖縄から、中国の白酒市場への参入は、今回が初めて。国内でも例がないと見られています。

ビンコウHD・中原専務「50度以上の(泡盛の)原酒を沖縄白酒という新たなジャンルに育てようと思っています。これが新たな沖縄の特産品になるんではないかという風に期待しています」

沖縄白酒は、1本15800円で、一般販売は来月スタートです。

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取材に当たった実近記者です。沖縄白酒というのは何がきっかけで始まったプロジェクトなのでしょうか。

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実近記者「そもそもこのプロジェクトは泡盛の出荷量が13年連続で減少しているのを食い止めようという内閣府の事業で、酒造会社など3社の合同プロジェクトです。まずは、こちらごらんいただきたいのですが、中国では、アルコールと言えば白酒が圧倒的に大きなシェアをもっているんです。その白酒の生産量も、年々増えていて、2016年には1358万トン、これは泡盛の730倍という巨大なマーケットなんです」

泡盛というのは、そもそもこの小さな3%のマーケットを狙っていたわけですね。

実近記者「そうなんですね。せっかく中国という巨大なマーケットを狙うにしても、これまでは、この3%の小さいところで焼酎や日本酒などと一緒に戦っていた。それを、この大きなマーケットに参入して勝算を上げようという戦略です」