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先週の旧盆中にも多くの人が食べたのではないでしょうか。長く愛されるある県民食の“ハンパなく”かっこいい製造現場を取材しました。

島豆腐に情熱注ぐ職人

チャンプルーややみそ汁など、沖縄の家庭料理には欠かせない島豆腐。その特徴をご存じだろうか。大きさは一般的な木綿豆腐をはるかに超え、1丁の重さはなんと1キロ近く。

程よい塩気と弾力で、子どもから大人まで、県民に愛される沖縄の島豆腐。その製造現場とは…!?

島豆腐に情熱注ぐ職人

深夜11時。ここは、沖縄市にある島豆腐の製造現場。

川上勝敏さん「豆腐に味のノリが悪いなという時はちょっと足したりしますし、お弁当屋さん用の豆腐は少し塩分を上げています」

島豆腐に情熱注ぐ職人

琉球王国時代に中国から伝わったとされる沖縄の豆腐。暖かい気候に合わせ、傷みにくいように塩を入れるなど、独自に発展してきた。川上勝敏さんは、60年続く川上食品の3代目だ。

島豆腐に情熱注ぐ職人

川上さん「本当にわがままなので、すぐ機嫌が悪くなるんですよ。こう言ったら豆腐に聞こえてそうですが、そのくらい気を使います」

豆腐の機嫌を読むように、ひとつひとつの工程を丁寧にこなします。

川上さん「(小さい頃は)嫌々やっていました。小学生くらいになると、名前で呼ばれずに同級生から『豆腐屋』って感じで言われるので」

川上さんが後を継ぐことを決めたのは、7年前のこと。

川上さん「ある時、親父がこの仕事もう辞めると言い出した時期があって。『明日からもう自分は豆腐屋の息子じゃないんだ』ってふと思った時にすごく寂しくなっちゃって」

お父さんから受け継いだ島豆腐づくり。川上さんが一番大事にしている工程は、他の従業員が出勤し、工場に活気が出てくる頃から始まります。

川上さん「きょうも早いよ固くなるの。見ておいてよ

川上さん「上手に作るにはなるべく大きい塊で、それを隙間なく重ねていくというのが、一番粘りがあって本当においしい豆腐になる。割った時もとろーっと粘りがあるような割れ方がする」

島豆腐に情熱注ぐ職人

固まりかけたよせ豆腐を、型の中いっぱいに入れ、圧縮しては、丁寧に形を整えていく。

川上さん「これくらい圧縮されたのが島豆腐です。内地の豆腐でここまでやるところは絶対ないです」

島豆腐に情熱注ぐ職人

およそ1時間かけて、水を抜くと、大豆がじっくり、ぎっしり詰まっていく。こうすることで本土の豆腐よりも大豆を多く含み、大豆の香りや栄養価が高い島豆腐が出来上がるのだ。

島豆腐に情熱注ぐ職人

川上さん「まあまあいいです」

島豆腐に情熱注ぐ職人

出来立ての島豆腐は街のスーパーへ。温かいまま店頭に並ぶのも、沖縄ならでは。

お客さん「毎日食べています」「(Q:豆腐は島豆腐を買う?)島豆腐。島豆腐しか食べない」

その日の豆腐が出来上がっても、また夕方にはすでに翌日の仕込みが始まる。後を継いで以来、夜中と朝に3時間ずつ寝るだけの過酷な生活が続いている。沖縄でも県外産の安い豆腐が流通するようになったが「伝統の島豆腐を食卓に届けていきたい」。これが川上さんの譲れないこだわりだ。

川上さん「手間かかっても時間かかってもコストかかっても、今の作り方をずっと続けて、さらに高めておいしい豆腐を作っていきたいですし、沖縄の豆腐屋さんは最低でもそこは全員共通の意識だったらうれしいなと思う」

島豆腐に情熱注ぐ職人

最後に、川上さん、島豆腐好きですか?

川上さん「愚問ですね(笑)大好きですよ、もちろん毎日食べてますから。大好きです」

島豆腐に情熱注ぐ職人

1972年の本土復帰の際は、温かいまま店頭に並べる島豆腐の販売方法が日本の食品衛生法上、問題となったことも。しかし当時の職人たちが団結し国に掛け合い、特例として沖縄特融の販売方法が認められたということです。