8月17日は、辺野古新基地建設に向け国が埋め立てに向けた土砂を投入すると県に通知した日です。一方で県は土砂投入の前に埋め立て承認の撤回をするとしています。今、両者でぎりぎりのせめぎ合いが続いています。
国は当初、辺野古の埋め立て予定海域への土砂投入をあす17日と予定していましたが、17日は気象条件などを理由に土砂投入を見送る方向であることがわかりました。
これにより、土砂投入前に県が行うとしている「埋め立て承認の撤回」がいつになるのかが流動的になっています。
知事の職務を代行する富川副知事は「知っての通り、緊迫した状態がずっと続いています。(Q:土砂の動きが先延ばしなら、その様子見て考える?)それも含めて、刻々と変化することをいつも注視しながら対応してますので、見守っていただきたい」と話しました。
富川副知事は8月16日朝、土砂投入前の撤回が基本原則だとする以外は戦略上言えないと沈黙しました。
ただ、現時点まで撤回の最終決定はなく、事実上、撤回は延期されています。
ここから久田記者とお伝えします。あす、国は土砂投入を見送る方向ということですが、これによって土砂投入前に行うとした県による承認撤回もまたいつカードを切るのかわからなくなってきましたね。
久田記者「県は、翁長知事が亡くなった日に行った撤回の最終手続き『聴聞』の報告書をまだまとめていません。まとめられた報告書を副知事らが精査する時間も必要で、ある県の関係者は『今週中の撤回はないのでは』と取材に答えています。一方、国もあすの土砂投入を延期する方針を固めています。土砂投入は知事選後まで先送りされるという見方も出ています」
まず、国の土砂投入の延期ですが、国にどんな思惑があってのことなのでしょうか?
久田記者「翁長知事が亡くなる前までは、国の『土砂投入』に対して、県は『承認撤回』と、この2つのキーワードが当面の焦点だった。しかし『知事選』が前倒しされることになりました。これが3つ目にして最も重要なキーワードになったんです。国にとっては、知事を亡くした直後に、土砂投入を強行して県民の反発を買えば、国が推す候補の選挙に影響を与えかねない。土砂投入を先送することは、国にとって知事選に向けたリスク回避なんだと思います。ただ、これまでも国は選挙の後には工事を再開させるというやり方を取っています。今、土砂投入を先送りするからといって、県側と向き合う姿勢そのものが変わったわけではないと思います」
では、県にとっては、土砂投入延期というのはどういう意味を持つんでしょうか。
久田記者「国が知事選より前に土砂投入に動けば『撤回』すると思いますが、国が知事選まで土砂投入を延ばした場合、『撤回』しないまま知事選を迎える可能性もあると思います。ただ、そもそも県が埋め立て承認を撤回する理由は、工事の設計や環境保全策が十分に協議されていないという問題や、新基地完成後も普天間基地の返還が確約されていないことなどです。本来、知事選と絡めて撤回時期を調整するような問題ではありません。ただ、翁長知事を失った今、副知事に高度な政治判断を求める局面となってしまった面も否めません。緊迫したせめぎあいの状況はしばらく続きそうです」