翁長知事が今週中にも辺野古の新基地建設に向けた埋め立て承認撤回のための手続きに入るとみられる中、一人の生物学者が声をあげました。
沖縄防衛局が設置した環境監視委員会の副委員長を務めた東清二さん。このまま工事が進めば貴重な自然が壊され取り返しがつかなくなるとして、一日も早い撤回を求めています。
東清二さん「報道機関から辞める理由を聞かれた場合に、それは防衛省に聞いてくれと。全然(東さんから)言うなよと、そういう風に言われたんですよ」
こう話すのは、辺野古新基地建設へ向けて沖縄防衛局が2014年に設置した環境監視委員会の委員だった生物学者の東清二さんです。東さんは2015年、副委員長という重要なポストでありながら、辞意を表明したことから波紋を広げました。
それは客観性、透明性が担保されているはずの委員会が、基地建設ありきで進められているということを浮き彫りにしたのです。
東さん「(ウミガメなどが)どの場所に来るのか、アマモなどがどのくらいの面積あって、密度はどのくらいか調べてくれと言ったんですが、全然聞き入れてくれないんです。だったら僕らの任務は全然要らないんだという事で辞めることにしたんですよ」
環境団体・河村雅美さん「私たちはここに、東氏の環境監視委員会からの辞任表明を強く支持するとともに、環境監視委員会が抱える問題を訴える」
東さんの決断には、多くの環境団体も賛同しました。
そしてこの一件から、委員会が形ばかりの議論しか行っておらず、非常に閉鎖的であることがみえてきたのです。
東さん「議事録など発言した人の名前はないですよ。AとかBとしか入っていないんです。でもこれも全部じゃなくて防衛局の都合の悪いのを全部除いたんでしょうね」
しかも東さんはなかなか辞めることもできませんでした。防衛局が慰留したからです。ようやく2018年4月に辞任できた際には防衛局から辞任の理由をマスコミなどに言わないよう口止めされたといいます。
東さん「軍事基地ありきでね、環境のことをしゃべったら困るわけですよね、向こうとしても。そういうことを色々報道機関に話してしまうとまずいと思ったんでしょうね。(Q:口封じのようなことがあったという解釈?)そうですね」
政府が8月17日にも辺野古の海に土砂を投入すると見られる今、東さんは一日も早く承認を撤回し工事を止めるべきだと訴えます。
東さん「安倍首相が来て『(辺野古が)唯一適地だ』と言ったでしょ。環境も全然見ないで『唯一だ』というなんてもってのほかだと思いますね。(撤回は)もう早くやった方が良いですね。当然です。ジュゴンの餌場の一番広いところですよ、貴重な場所ですよ。そこを埋め立てるなんて愚かな人間がいうことです」