2020年東京オリンピック・パラリンピックを目指す県内アスリートを紹介しています。きょうは陸上競技から平良美友貴選手。自身の障害に悩むこともありながら、ひたむきに練習に取り組む背景には、ある思いがありました
首里にある自宅から、練習へと向かう平良美友貴さん。と、突然！速いスピードで走り出します！平良さんにとって、練習会場へ向かう道のりからすでに練習が始まっているのです。
平良美友貴選手「（Q:走るのは、楽しいですか？）楽しいです。レベルアップすると、どんどん競うのが楽しくなってきます」
軽度の知的障害を持つ平良さんですが、去年11月の中部トリム・ハーフマラソン女子の部では一般のランナーを抑え優勝。さらにことし2月の沖縄マラソンでは3時間33分22秒で完走！これは知的障害者女子の「日本新記録」です！
現在は、知的障害者のスポーツを支援する「琉球スポーツサポート」に所属し、パラリンピックの正式種目となる1500Mでの出場を目指し、練習に打ち込んでいます。
琉球スポーツサポート・手登根雄次代表「彼女自身は、走る能力が最初から高かったというよりは、練習の積み上げで速くなっている子なので、練習を継続する力が長所なのかなと思っています」
練習メニューは一般のランナーと大きくは変わりませんが、知的障害者スポーツでは「体で覚えること」がより一層求められてきます。
琉球スポーツサポート・手登根雄次代表「1キロ5分だよとか1キロ4分だよというペースを口頭で説明してもなかなか難しいので、コーチの方々に一緒に走ってもらって、体で感覚で、という方が本人たちには浸透しやすいかなと思います」
それゆえ、繰り返し、繰り返し練習を重ねることが必要となります。
平良さんは平日の日中、豊見城にある農園で働いています。特別支援学校での職場体験がきっかけで就職し、ことしで6年目です。
平良さん「（Q:これは今何を収穫しているんですか？）ハラペーニョです（平良さんハラペーニョって何ですか？）唐辛子みたいな辛い味のもの。日本ではまだ馴染みがないかな」
働いて得た給料は生活費のほか、大会への出場費や陸上シューズの購入などにあてています。その働きぶりは、職場から太鼓判を押されるほどです。
国吉社長「今、品目的に3種類任せているんですけど、それはうちの誰よりもテキパキ作業をこなしてくれる。今となっては（障害があることは）ほとんど感じないです。逆に誰よりも責任感が強いんじゃないかな」
さらには、日頃の練習の成果か、ビニールハウス内の暑さにも負けない体力があり、多くの仕事をこなせることも平良さんの長所です。
国吉社長「やっぱりいなかったら大変だなという、今はもうそういう感じです。うちの農場としてもなくてはならない存在です」
平良さん「自分ではわかりません。社長がそういっているならそうなんだと思います」
国吉社長「そうなんだよ」
仕事が終わると、自転車にまたがる平良さん。これもトレーニングの一環で、首里と豊見城の間を自転車で通勤。さらに帰宅するとすぐに着替え、自主練をスタート。1日12キロから16キロを目標に走り込んでいます。
障害者スポーツの祭典・パラリンピックの舞台を目指し、ひたむきに練習に取り組む平良さん。しかし、以前は自身の持つ障害に悩むこともあったといいます。
平良美友貴選手「障害どうにかできないの、治せないのって親を責めていました。嫌になって、私も。受け入れられない気持ちになるときはあります」
障害のため、周りから子ども扱いを受けるなど、嫌な思いをしたことも多かったという平良さん。それでも少しずつ障害と向き合い、前だけを見て走り続けているのには、こんな思いがありました。
平良美友貴選手「負けたくない気持ちもあって。周りの応援やサポートもあるからですかね。（Q:良いタイムを出すと周りも喜んでくれる？）はい。おめでとうって笑顔で出迎えてくれた時に、うれしくて自分も笑顔になります。（Q:そのゴールを目指して、いつも走っているんだ？）はい」
誰よりも直向きに、貪欲に走り続ける平良美友貴。その先に待っているのは東京パラリンピックでの笑顔のゴールです
平良美友貴選手「東京パラリンピックに出られるように練習を頑張りますので、皆さまの応援よろしくお願いします」
